[S-GL18] 日本列島および東アジアの地質と構造発達史

[SGL18-04] 飛騨帯と極東アジアの地体構造的リンク：大和構造線大陸側の白亜紀世界

*磯崎 行雄¹、澤木 佑介¹、岩野 英樹^2,3、平田 岳史² (1.東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻広域システム科学系、2.東京大学大学院理研究科附属地殻化学研究センター、3.京都フィッショントラック)

キーワード：飛騨帯、L-G帯、ニッポニデス造山帯、大和構造線、大・南中国地塊、白亜紀

日本中央部の飛騨帯は約250 Maと180 Maという特異な年代組み合わせの花崗岩で特徴付けられ、日本の他の地体構造単元（プレート沈み込みでできたニッポニデス造山帯）とは明瞭に異なる。日本海拡大前に、もともと極東アジアのどの部分に連結していたのかは長く不明であったが、近年の単粒子高分解能U-Pb年代測定の進歩により、この問題に新たな視点が開かれた。特に極東アジアでは極めれ稀な後期三畳紀のA型赤色花崗岩礫が、飛騨帯の下部白亜系手取層群から見出され、日本海の対岸地域の地質との比較が可能となった。飛騨帯の連続部として、日本海中の大和堆をへてロシア沿海州・北東中国・北朝鮮の三国境界域へと続くLaoelin-Grodekov帯が最も有望である。この対比を検証するために、飛騨帯の下部白亜系手取層群砂岩中の砕屑性ジルコンのU-Pb年代を測定した。その結果、飛騨帯を含む現在の日本列島地殻には全く存在が知られていなかった後期三畳紀花崗岩由来ジルコンが、飛騨帯のほぼ全域に供給されていたことが確認され、白亜紀の飛騨帯とL-G帯との地体構造的リンクが確認された。さらにロシア沿海州の下部白亜系砂岩の砕屑性ジルコン年代スペクトルとの比較に基づき、極東アジア大陸縁における白亜系の堆積場と後背地について考察する。大和構造線の大陸側で堆積したこれらの白亜系は独自の層相と植物化石群で共通の特徴を持つ。

Isozaki et al. (2023a) Island Arc 32, e12475; Isozaki et al. (2023b) Bull. Nat. Mus. Nature+ Science C49, 1-13.