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[SGL18-P01] 房総半島中部,5万分の1地質図幅「大多喜」における前弧海盆堆積物の層序と構造
キーワード:前弧海盆、新第三紀、第四紀、地質図幅
房総半島には前弧海盆堆積物である安房層群(三浦層群とも;中新統~鮮新統)と上総層群(鮮新統~更新統)が露出し,古くから本邦上部新生界の模式地の一つとして多くの年代層序学的な研究がなされてきた.また両層群ではこれらの年代層序学的枠組みに基づき、沿岸から深海に至る様々な堆積システムの発達過程や,構造地質学的研究に基づくテクトニクスの復元により,前弧海盆の発達とその後の隆起・陸化に至る詳細な過程が明らかになりつつある.房総半島のほぼ中心部を占め,房総半島の地質の解明上最も重要な位置にある5万分の1大多喜地域には安房層群中部~上部と上総層群が露出する.本地域における安房層群中部~上部は下位より天津層(主に泥岩層),清澄層(主に砂岩優勢砂泥互層と泥岩優勢砂泥互層の繰り返し),安野層(主に砂質泥岩層,泥質砂岩層)により構成される.安房層群は上総層群黒滝層(凝灰質砂岩および泥質砂岩)により覆われ,安野層の岩体から構成される海底地すべり堆積物を挟むことがある.上総層群は下位から黒滝層,黄和田層(主に泥岩層),大田代層(主に砂泥互層),梅ヶ瀬層(主に砂岩優勢砂泥互層),国本層(主に泥岩層,砂質泥岩層,泥質砂岩層),市宿層(斜交層理の発達する砂岩層),長南層(主に泥岩層,砂質泥岩層),万田野層(斜交層理の発達する砂岩層・礫岩層)および笠森層(主に泥岩層,砂質泥岩層)から構成される.本発表では,大多喜地域の地質図幅を作成するための調査でこれまでに得られた層序・構造地質学的成果について報告する.