日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-IT 地球内部科学・地球惑星テクトニクス

[S-IT14] 地球深部科学

2024年5月31日(金) 13:45 〜 15:00 コンベンションホール (CH-B) (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:河合 研志(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、土屋 旬(愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)、石井 貴之(岡山大学惑星物質研究所)、飯塚 理子(早稲田大学教育学部理学科地球科学専修)、座長:河合 研志(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、土屋 旬(愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)、飯塚 理子(早稲田大学教育学部理学科地球科学専修)、石井 貴之(岡山大学惑星物質研究所)

13:45 〜 14:00

[SIT14-12] 波形インバージョンによる北部太平洋下最下部マントルの三次元方位異方性構造推定

*舩橋 郁地1河合 研志1 (1.東京大学)

キーワード:最下部マントル、地震波異方性、波形インバージョン

地震波異方性は地下の変形や流動に関連するとされる。最下部マントルはマントル全体のダイナミクスについて重要な役割を持つ場所であるが、そこでの流動の情報源は限られており、地震波異方性からの制約が特に重要である。しかしながら、最下部マントルの異方性の先行研究は、推定されているパラメータが少ないことから、応力状態への制約は限定的である。波形インバージョン法は、利用できるデータが豊富であることと、異方性パラメータの導入が簡便であることから、方位異方性(パラメータ数3以上の異方性)構造を推定できることが期待される手法である。本研究では、33,599の3成分広帯域実体波形を用い、北太平洋下の最下部マントルの3次元方位異方性構造を求める波形インバージョンを行う。我々はインバージョン過程にベイズモデルを導入し、自由度が異なる異方性を持つモデル間の妥当性の比較を可能にした。比較の結果、方位異方性を持つモデルがもっとも妥当であると判断された。このモデルによって、イザナギプレートの沈み込み物質であると考えられている高速度異常領域において、異方性を生み出している鉱物結晶の配向性に対する制約を強めることができ、南北方向の流動があることが最も有力であると結論付けた。本発表では、ベイズモデルを利用したモデル評価と、得られたモデルの地球物理学的解釈を中心に述べる。