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[SMP23-P03] 炭酸化学種がforsteriteの炭酸塩化反応にもたらす影響
キーワード:Forsterite、Magnesite、炭酸塩化、GCS
近年カーボンニュートラルの観点から,CO₂回収・貯留技術(CCS)の一つである地質学的炭素貯留(GCS)が注目されている.GCSは,岩体に圧入したCO₂を岩石中の鉱物と反応させ,炭酸塩化反応によって化学的に安定な炭酸塩鉱物として固定される方法である.Forsterite(苦土カンラン石:Mg₂SiO₄)は,かんらん岩や玄武岩のような塩基性岩中に普遍的に存在し,主要造岩鉱物の中では最も風化作用を受けやすい鉱物である.また,forsteriteは熱水やCO₂に富んだ流体と容易に反応し,lizardite [Mg₃Si₂O₅(OH)₄]やtalc [Mg₃Si₄O₁₀(OH)₂],magnesite (MgCO₃)を生成する.Magnesiteは地質学的時間スケールにおいて化学的に安定であり,CO₂のリザーバーとして有用な鉱物の一つである.
このように,高い反応性とCO₂吸収ポテンシャルを持つforsteriteはGCSにおいて最適なターゲット鉱物として期待されており,forsteriteの炭酸塩化メカニズムを調査した研究はこれまで数多く行われてきた.Forsteriteの水熱反応においては,T ≈ 180℃,PCO₂ ≈ 135 bar,1MのNaClおよび0.64MのNaHCO₃を含む水溶液が炭酸塩化を促進する最適条件として提案されている(Bearat et al., 2006).一方で,炭酸化学種の違いが炭酸塩化にもたらす影響については不明瞭な部分が多く議論の余地がある.そこで本研究では,forsteriteと溶存二酸化炭素(CO₂aq)の水熱反応実験を行い,得られた生成物に対して放射光X線回折(XRD)法を用いて解析した.XRDは高エネルギー加速器研究機構放射光施設(KEK-PF)のBL8Bの大型二次元imagingplate検出器を備えた回折計を用いて行った.
24時間の水熱反応では,140℃においてlizarditeが形成され,160℃から180℃の温度範囲では,lizarditeとmagnesiteが形成された.また,200℃で行った水熱反応では5日目までmagnesiteの形成と増加が確認されたが,7日目以降においては生成物に有意な変化はみられなかった.溶存二酸化炭素にNaCl,KClを加えた水熱反応では,溶存二酸化炭素のみで行った実験と比較して,より多くのmagnesiteの形成が確認された.本研究の結果から,溶存二酸化炭素においてもforsteriteの炭酸塩化反応に温度依存性を示すこと,さらにNaClやNaHCO₃に限らずKClのようなアルカリ金属イオンがforsteriteの炭酸塩化反応を加速させることが明らかになった.
このように,高い反応性とCO₂吸収ポテンシャルを持つforsteriteはGCSにおいて最適なターゲット鉱物として期待されており,forsteriteの炭酸塩化メカニズムを調査した研究はこれまで数多く行われてきた.Forsteriteの水熱反応においては,T ≈ 180℃,PCO₂ ≈ 135 bar,1MのNaClおよび0.64MのNaHCO₃を含む水溶液が炭酸塩化を促進する最適条件として提案されている(Bearat et al., 2006).一方で,炭酸化学種の違いが炭酸塩化にもたらす影響については不明瞭な部分が多く議論の余地がある.そこで本研究では,forsteriteと溶存二酸化炭素(CO₂aq)の水熱反応実験を行い,得られた生成物に対して放射光X線回折(XRD)法を用いて解析した.XRDは高エネルギー加速器研究機構放射光施設(KEK-PF)のBL8Bの大型二次元imagingplate検出器を備えた回折計を用いて行った.
24時間の水熱反応では,140℃においてlizarditeが形成され,160℃から180℃の温度範囲では,lizarditeとmagnesiteが形成された.また,200℃で行った水熱反応では5日目までmagnesiteの形成と増加が確認されたが,7日目以降においては生成物に有意な変化はみられなかった.溶存二酸化炭素にNaCl,KClを加えた水熱反応では,溶存二酸化炭素のみで行った実験と比較して,より多くのmagnesiteの形成が確認された.本研究の結果から,溶存二酸化炭素においてもforsteriteの炭酸塩化反応に温度依存性を示すこと,さらにNaClやNaHCO₃に限らずKClのようなアルカリ金属イオンがforsteriteの炭酸塩化反応を加速させることが明らかになった.