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[SMP24-13] 岩手県早池峰超マフィック岩体で発見された細粒含水カンラン岩〜背弧拡大下における岩石―含水メルト反応の証拠〜
キーワード:かんらん石CPO、早池峰・宮守オフィオライト、沈み込み帯、角閃石
本研究では沈み込み帯の岩石―含水メルト反応に関連したカンラン岩の構造岩石学的特徴を明らかにすることを目的として,背弧起源マントルの特徴を持つ早池峰岩体超マフィック岩(Ozawa, 1988, 1990)の試料採取,微細組織観察,結晶方位分析,鉱物主要元素組成分析を実施した.早池峰岩体は著しい蛇紋岩化作用によってカンラン岩の産出が限られるため,本研究では広域的な野外調査を基にして比較的カンラン岩の状態が良好な17試料を選別した.カンラン岩の主要構成鉱物はかんらん石,直方輝石,単斜輝石,角閃石,スピネルであり,レールゾライトからハルツバージャイトに分類された.カンラン岩はかんらん石の粒径が約2–3mmの粗粒カンラン岩と約0.3–0.5mmの細粒カンラン岩に分けられた.粗粒カンラン岩はマントル最上部で形成された初生的な組織を示す一方,細粒カンラン岩にはスピネルのインクルージョンを多く含む直方輝石と角閃石の集合組織が存在した.各試料のかんらん石の結晶方位定向配列を基にして,粗粒カンラン岩はグループ 1とグループ 2に分類された.これに従って細粒カンラン岩をグループ 3とした.さらにカンラン岩の鉱物化学組成はグループ毎に異なる特徴をもっていた.このようなカンラン岩の構造岩石学的特徴と化学組成の間にみられる関係は,スラブの脱水に伴って発生した含水メルト(Yoshikawa and Ozawa, 2007)とマントルカンラン岩の反応に起因すると解釈された.