日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS05] 地震発生の物理・断層のレオロジー

2024年5月27日(月) 09:00 〜 10:15 303 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:奥田 花也(海洋研究開発機構 高知コア研究所)、浦田 優美(産業技術総合研究所)、奥脇 亮(筑波大学)、澤井 みち代(千葉大学)、座長:奥田 花也(海洋研究開発機構 高知コア研究所)、澤井 みち代(千葉大学)


09:30 〜 09:45

[SSS05-13] インド砂岩の摩擦滑りにおける滑り面構造の発達と力学挙動の関係の解明

*畑中 衞1廣野 哲朗1大橋 聖和2、伊藤 彰厚3 (1.大阪公立大学、2.山口大学、3.大阪大学)

キーワード:摩擦、インド砂岩、滑り弱化

砂岩の摩擦特性の理解は,地滑りや地震時の断層の挙動を把握するために不可欠と言える.これまでの半世紀において,砂岩を用いた室内摩擦実験は数多く実施されてきたが,滑り面の表面構造の発達や雰囲気による影響に着目した研究はほとんど実施されていない.そこで,本研究では,インド砂岩を用いてAirおよびN2 パージの異なる二つの雰囲気条件のもと,滑り速度1 mm/s,滑り距離0.5-20 mにて,rock-on-rockでの回転摩擦実験を実施した.さらに,実験前後の滑り面表面構造の電子顕微鏡による観察を行った.はじめに摩擦実験の結果, Air条件下では,摩擦係数は滑り距離0.5 mでピークを示し,5 m以降に低下した.一方で,N2 パージ条件下では摩擦係数は同様に滑り距離0.5 mでピークを示したが,その直後に大きく低下した.観察の結果,Air条件下と比較して,N2 パージ条件下ではより短い滑り距離で微粒子が観察され,また平坦な面がより広範囲に渡っていた.以上に基づき,摩擦係数および滑り面の表面構造は雰囲気に大きく依存することが明らかになった.さらに,これらの環境条件の差はおそらく滑り面への水分子の吸着の程度に関係し,微粒子および平坦な面の吸着層の存在が力学挙動に関係していると推察される.