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[SSS07-09] 多様な波動場情報の抽出を通じた地下構造推定の高精度化
キーワード:地下構造推定、波動場抽出、フルウェーブインバージョン
地震探査データを用いた地下構造の可視化において、構造形態の把握, 流体流動を含めた物性情報推定さらには、各種応力情報や岩石の変形-破壊特性評価による力学特性の理解を目指して、解像度の向上と評価指標の多様化が進み, 統合的な三次元地下構造・物性・力学特性モデルをデジタルツインとして構築する重要性が指摘されている。こうした地下構造のデジタルツインを用いて, 地下の流体流動に関わる時間履歴の把握・予想とモニタリングデータによる検証, 高度なAI・機械学習技術の適用によるデータ処理-解析の高速化や客観的指標に準拠した対象構造の自動抽出・地質リスクの同定等, 多角的な評価が可能となる。精緻なデジタルツイン構築の前提となる地震探査データの取得の高度化に関して、近年様々なアプローチが提示されてきた。第一の観点は、空間エイリアジング抑制、共通受振-発震-オフセット領域における均一サンプリングの実現、’Acquisition Footprint’の抑制及び有効重合数の飛躍的確保を目的とした受発震点間隔の稠密化である。第二の観点は、低周波伝播エネルギーの拡充を通じた深部反射波の抽出と高周波有効領域の有効エネルギー確保による時間分解能の向上を目的とした受発震システム応答の広帯域化である。第三の観点は、多様な異種震源と可変型の受発震間隔を前提とした屈折波、反射波及び'Pre-critical'広角反射波の同時取得に準拠した大規模探査の低コスト化である。こうしたデータ取得技術の高度化を通じて、浅部から深部までのマルチスケール探査が実現すると共に、Full Waveform Inversion(FWI)解析を主体とする速度構造推定の高度化が進み、反射波、屈折波、散乱波、地表面を介在する多重反射波、表面波等の多様な波動場を用いた個別のイメージング、あるいは総ての波動場を用いたFull Waveform Migration (FWM)解析が可能な段階に来ている。多様な波動場の複合的かつ網羅的な活用は、地下構造に関わる時空間変動履歴の抽出・予測を見据えたマルチスケールのデジタルツインの高精度化において、極めて重要である。本研究では、国内における深部構造探査データ及び合成波形データを対象事例として、多様な波動場情報の抽出を通じた地下構造モデル構築の基本コンセプトと適用事例を提示すると共に、探査・モニタリング・AI技術の進展による地下構造可視化への将来像に関して展望する。