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[SSS07-P02] 自然地震記録の自己相関関数を用いた高分解能の地盤構造推定法

キーワード:地震動、強震動、自己相関関数
波形記録から地下構造を調べる方法の一つに地震波干渉法がある. 近年では, 自然地震の記録の自己相関関数から地下構造の情報が抽出されている. 自己相関関数のシグナルは地下構造の境界面からの反射波と捉えることができ, 反射法探査におけるゼロオフセットの反射記録と見なすことができる. ここで自己相関関数に対して適切なホワイトニング処理やフィルター処理を施すことで, 反射波をより強調することができる. 前者は元の波形記録に含まれる震源(入射波)の効果を軽減し, 後者は比較的にノイズの少ない周波数帯域の切り出しに用いられる. これら2つの処理に関わるパラメータは既知の地下構造を参考に試行錯誤的に決定されている. しかし, 地下構造が明白ではない複雑な地盤構造の推定において, 自己相関関数のシグナルが地下構造のどの境界面からの反射波に対応しているかを判断するのは困難な場合がある. 特に, 浅い地盤面からの反射波は時間軸のゼロ秒付近に表れる幅広いピークによって隠されてしまう. そこで本研究では, 複雑な地盤構造の高分解能な推定を可能にする自己相関関数の新しい処理手法を以下に提案する. まずパワースペクトルに対数をとった波形を時刻歴波形であるかのように取り扱い, 逆フーリエ変換してケプストラムを計算する. ケプストラムはスペクトルのスペクトルを表すため, その低次の項(低ケフレンシー)には入射波の効果が顕著に表れる. これをゼロにすることは実質的にホワイトニング処理と等価である. 次にこのケプストラムをフーリエ変換した後に, 対数をはずし, 求めたパワースペクトルからその平均値を引く. 最終的に時間領域に戻した波形は反射波のみをもつため, 浅い地盤面からの反射波を容易に特定できる. 発表では, 地下構造モデルから算定した理論波形を用いた手法の有効性の検討や, 実際の観測記録への適用の具体的な手順と計算例を示す.