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[SSS07-P07] ハリケーンで強く励起された一次脈動の発生源

キーワード:脈動、ハリケーン、海洋波、地動ノイズ
一次脈動は、0.05~0.10Hzの周波数を示す連続的な地震動である。一次脈動の周波数は海洋波のうねりの周波数に対応していることから、浅瀬の海底と海洋波の直接的な作用により発生すると考えられている(Nishida et al., 2008; Fukao et al., 2010; Saito, 2010)。特に、台風やハリケーンなどの海洋性の嵐が接近した際には、振幅が大きくなることが観測されている。しかし、一次脈動の発生源や励起メカニズムについては議論の余地を残している。例えば、Park & Hong (2020)や河上・須田(2022地震学会)は、台風によって励起された一次脈動の発生源が特定の領域に集中することを報告しているが、その原因は明らかになっていない。同様の現象は北西大西洋でも観測されており、河上・須田(2023地震学会)では、2017年から2021年で発生した12個の大型ハリケーンの発生源を推定し、メキシコ湾、バハマ周辺、メイン湾の3か所で一次脈動が強く励起されることが明らかになった。しかし、観測点分布に偏りがあり、解析したハリケーンの数も少ないという課題が残っていた。本研究では、河上・須田(2023地震学会)から観測点分布の偏りを改善し、2017年から2021年に発生した41個のハリケーンを対象として、一次脈動の発生源を推定した。
地震計データとしては、GSN、USNSN、ドミニカ共和国に設置されているGASP、コロンビアに設置されているRSNCの4つのネットワークから、合計75観測点での記録を使用した。さらに、1時間ごとにパワースペクトルを作成し、一次脈動のピークが顕著な観測点における三成分記録を解析に用いた。ハリケーンについては、National Hurricane Centerのデータベースを参照し、2017年から2021年の5年間に大西洋で発生した41個のハリケーンを対象とした。強い励起源の推定には、Park & Hong (2020)と同様にRayleigh波の極性を利用する方法を用いた。この方法では、ある方位に回転させた水平成分と位相をπ/2シフトさせた上下動成分との相互相関係数が最も大きいとき、その方位に発生源があると考える。今回は北緯10度~50度、 西経50度~100度の範囲において0.5度間隔で仮想的な震源を地表に設定し、各仮想震源に対して相互相関係数の観測点平均を計算することで強く励起された一次脈動の発生源を推定した。
解析の結果、メキシコ湾、バハマ周辺、ドミニカ共和国沿岸、メイン湾で一次脈動の発生源が強く励起されていることが明らかになった。これらの領域は、Fan et al. (2019)で発見されたStormquakesの発生源とよく一致している。Stormquakesはハリケーンが沿岸に接近した際に発生する0.02~0.05Hzのコヒーレントな地震波である。周波数の異なる一次脈動とStormquakesが同様の領域で発生しているという結果は、これらの発生メカニズムが類似している可能性が考えられる。発表では、海底地形や海底での圧力変動との比較も行う予定である。
地震計データとしては、GSN、USNSN、ドミニカ共和国に設置されているGASP、コロンビアに設置されているRSNCの4つのネットワークから、合計75観測点での記録を使用した。さらに、1時間ごとにパワースペクトルを作成し、一次脈動のピークが顕著な観測点における三成分記録を解析に用いた。ハリケーンについては、National Hurricane Centerのデータベースを参照し、2017年から2021年の5年間に大西洋で発生した41個のハリケーンを対象とした。強い励起源の推定には、Park & Hong (2020)と同様にRayleigh波の極性を利用する方法を用いた。この方法では、ある方位に回転させた水平成分と位相をπ/2シフトさせた上下動成分との相互相関係数が最も大きいとき、その方位に発生源があると考える。今回は北緯10度~50度、 西経50度~100度の範囲において0.5度間隔で仮想的な震源を地表に設定し、各仮想震源に対して相互相関係数の観測点平均を計算することで強く励起された一次脈動の発生源を推定した。
解析の結果、メキシコ湾、バハマ周辺、ドミニカ共和国沿岸、メイン湾で一次脈動の発生源が強く励起されていることが明らかになった。これらの領域は、Fan et al. (2019)で発見されたStormquakesの発生源とよく一致している。Stormquakesはハリケーンが沿岸に接近した際に発生する0.02~0.05Hzのコヒーレントな地震波である。周波数の異なる一次脈動とStormquakesが同様の領域で発生しているという結果は、これらの発生メカニズムが類似している可能性が考えられる。発表では、海底地形や海底での圧力変動との比較も行う予定である。