14:45 〜 15:00
[SSS08-14] 相関法を用いた紀伊半島南東沖における浅部超低周波地震の震央決定
キーワード:浅部超低周波地震、スロー地震、紀伊半島南東沖、相関法
紀伊半島南東沖は南海トラフの北東部に位置し,100~150年間隔で海溝型巨大地震が発生するとともに,通常の地震よりも時定数の長い「スロー地震」と呼ばれる地震現象が発生している。スロー地震はプレート境界上で巨大地震発生域に隣接する遷移域で発生するため,巨大地震のトリガーとなる可能性がある(Obara & Kato, 2016)。スロー地震の一種である浅部超低周波地震(SVLFE)は,0.01~0.1Hz周波数に卓越する地震波を放射し,陸域および沖合の広帯域地震観測網によって観測される。これまでSVLFEは主にアレイ解析(e.g. Asano et al. 2008)とグリッドサーチ(e.g. Asano et al. 2015)を用いて解析されてきた。紀伊半島南東沖で発生するSVLFEについては,活動域がプレート境界の走向方向に移動していることや応力蓄積のピーク周辺に位置する傾向があることなどが明らかになっている。本研究では,紀伊半島南東沖におけるSVLFEについて,これまでとは異なり相関法を使用して震央決定を行い,時空間的特徴をより詳細に捉えることを試みた。
一般に相関法では2つの観測点の波形の相互相関係数(CC)を求め,最大CCを与えるタイムラグを観測走時差として使用する。本研究では多数の観測点の組み合わせに対して観測走時差と理論走時差の残差二乗和を目的関数とし,それを最小化することで震央を決定する。しかし,本研究のように狭帯域の波形を用いる相関法では、最大CCを与えるタイムラグが必ずしも真の走時差に対応するわけではないという問題点がある。そこで,単にCCが最大となるタイムラグを走時差とするのではなく,CCの極大値に対応する複数のタイムラグの中から走時差残差の絶対値が最小となるものを走時差の候補とする。さらに,三次元の地震波速度構造の影響をなるべく少なくするために,CCだけではなく走時差残差と震央距離の差についても条件を付けて走時差データを選択する。
本研究では,SVLFE活動が活発である2004年9月,2009年3~4月,2016年4月,2020年12月~2021年1月の4つの期間で解析を行った。使用したデータはF-netの33観測点からの広帯域地震計記録の上下動成分で,20-50秒のバンドパスフィルターをかけてサンプリング間隔を1秒とした。解析は,紀伊半島南東沖のある参照点に対する理論走時でreduceした波形について,長さ300秒の解析区間を150秒ずつずらして連続的におこなった。その際,波の見かけ速度は3.8 km/secとした。また,求められた震央からブートストラップ法による誤差が10 km以下のものを結果として採用した。
Figure. に2009年3~4月の活動の解析結果を示す。検出されたイベント数は258個で,震央分布には2つのクラスターがみられる。時空間プロットからは,解析期間の前半に活動域がX-X’に沿って9㎞/day程度の速度で東に移動していることがわかる。これは,日向灘で観測されているSVLFEの移動速度と同程度の速度である。また,後半には活動域が東から西に,深部から浅部に移動していることがわかる。本研究により,相関法を用いた震央決定法は紀伊半島南東沖におけるSVLFE活動の時空間的特徴の検出に有効であることが分かった。発表ではDONETデータを用いた結果についても示す。
謝辞:本研究ではF-netとDONETの記録を利用しました。防災科学技術研究所と海洋研究開発機構の関係各位に感謝します
一般に相関法では2つの観測点の波形の相互相関係数(CC)を求め,最大CCを与えるタイムラグを観測走時差として使用する。本研究では多数の観測点の組み合わせに対して観測走時差と理論走時差の残差二乗和を目的関数とし,それを最小化することで震央を決定する。しかし,本研究のように狭帯域の波形を用いる相関法では、最大CCを与えるタイムラグが必ずしも真の走時差に対応するわけではないという問題点がある。そこで,単にCCが最大となるタイムラグを走時差とするのではなく,CCの極大値に対応する複数のタイムラグの中から走時差残差の絶対値が最小となるものを走時差の候補とする。さらに,三次元の地震波速度構造の影響をなるべく少なくするために,CCだけではなく走時差残差と震央距離の差についても条件を付けて走時差データを選択する。
本研究では,SVLFE活動が活発である2004年9月,2009年3~4月,2016年4月,2020年12月~2021年1月の4つの期間で解析を行った。使用したデータはF-netの33観測点からの広帯域地震計記録の上下動成分で,20-50秒のバンドパスフィルターをかけてサンプリング間隔を1秒とした。解析は,紀伊半島南東沖のある参照点に対する理論走時でreduceした波形について,長さ300秒の解析区間を150秒ずつずらして連続的におこなった。その際,波の見かけ速度は3.8 km/secとした。また,求められた震央からブートストラップ法による誤差が10 km以下のものを結果として採用した。
Figure. に2009年3~4月の活動の解析結果を示す。検出されたイベント数は258個で,震央分布には2つのクラスターがみられる。時空間プロットからは,解析期間の前半に活動域がX-X’に沿って9㎞/day程度の速度で東に移動していることがわかる。これは,日向灘で観測されているSVLFEの移動速度と同程度の速度である。また,後半には活動域が東から西に,深部から浅部に移動していることがわかる。本研究により,相関法を用いた震央決定法は紀伊半島南東沖におけるSVLFE活動の時空間的特徴の検出に有効であることが分かった。発表ではDONETデータを用いた結果についても示す。
謝辞:本研究ではF-netとDONETの記録を利用しました。防災科学技術研究所と海洋研究開発機構の関係各位に感謝します