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[SSS08-P07] 2015年から2024年における奥会津地熱地域での人工涵養試験中の微小地震モニタリング
キーワード:微小地震、弾性波、涵養注水、地熱貯留層、モニタリング
エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)による「地熱貯留層評価・管理技術」研究では,福島県奥会津地熱地域の柳津西山地熱発電所において減少傾向にある蒸気生産量の回復,安定化のため,2015年度から河川水を地熱貯留層に注水する人工涵養試験が実施されている。注水に伴って岩盤中の亀裂がせん断滑りを起こすことにより微小地震を引き起こすことが知られていることから,産総研では本地域に地震計を設置し,微小地震をモニタリングすることで,地下での流体流動や微小地震発生分布の変化等,人工涵養による地熱貯留層内の挙動の変化を間接的に追跡している。本発表では,2015年5月~2024年1月の期間に発生した微小地震について報告する。本地域の地熱貯留層を取り囲む9地点の各地震計で観測された微小地震波形のP波,S波到達時刻を目視で読み取り,震源決定を行った。そして,涵養注水と微小地震の発生について,時空間的な分布傾向からその関係性を考察した。奥会津地熱地域における微小地震は当期間で合計32,559個観測され,これらの震源は涵養注水井の南側領域と涵養井北東(猿倉沢断層)領域の2領域に集中していた。この2つの領域における注水期間と非注水期間の微小地震発生数を比較した。涵養井南側領域では,注水開始とともに発生数が増加し,注水流量の増減に応じて発生数も増減する傾向がみられた。一方で涵養井北東の猿倉沢断層周辺領域では,注水の有無にかかわらず,時折群発的に微小地震が発生する傾向がみられた。したがって,各領域では,微小地震が活発化する条件が異なることが示唆された。