17:15 〜 18:45
[SSS09-P05] 海陸統合地震探査による日高衝突帯深部構造の解明(1)
キーワード:海陸統合地震探査、日高衝突帯、反射法地震探査
2018年北海道胆振東部地震は通常の地殻内地震より異常に深い深度で発生した特異な地震である。この地震の発生には、震源東側に存在する、東北日本弧と千島弧の衝突によって形成された日高衝突帯の複雑な地下構造が関係していると推定された[e.g. Iwasaki et al., 2019]。日高衝突帯の深部構造は反射法地震探査や自然地震波形の解析からいくつか推定されているものの、深さ40㎞以深については統一的な解釈が得られていない[e.g. Tsumura et al.,1999; Kita et al., 2012]。しかし島弧間衝突と胆振地震のような地殻深部での地震の発生の関係を理解するには、衝突で働く力や質量過剰を解消するための変形を規定する2つの島弧の衝突境界の形状を明らかにする必要がある。
本研究では、主に反射探査の結果からTsumura et al.(1999)が提唱した、東北日本弧に衝突した千島弧地殻が裂けて下部地殻の一部が深部に沈み込む剥離が起こっているという作業仮説を検証する。今回は日高衝突帯前縁部に当たる浦河沖でのエアガン発震を陸域で受信する海陸統合探査を行って、既存反射断面では連続性が追えなかった剥離構造深部からの反射波を捉え、島弧間衝突の境界形状を約50㎞の深度まで明らかにすることを目指した。
2023年10月16日~11月14日まで,北海道浦河町から大樹町までの国道や林道沿いなどに陸域受信点を約250m間隔で210点設置し,現地で地動を連続収録した.サンプリング周波数は250Hzである.
海域での探査は東京大学大気海洋研究所白鳳丸共同利用研究航海(KH-23-8:2023年11月8日~12日)により実施された.海域測線は浦河の沖合い北東―南西直線上に設定され,測線の全長は50㎞,測線北東端が陸域観測点の南西端から約30㎞に位置する.海域測線下には2.5㎞~10㎞の間隔で8台の海底地震計も設置された.実際の発振は11月9日~10日に1500cu.inのエアガン4台で4ノット75秒間隔(約150m間隔)で行った.発震総数は1039である.
陸域で観測された波形を観測点記録として並べると,南西端の観測点では海域発震測線の全領域で撃ったショットの初動が往復走時10s~22s付近に見いだせた.また日高山脈を越えた帯広側の観測点でも,海域測線の陸側寄り20㎞付近で撃ったショットの初動が確認できた.今後これらの波形に反射法解析を適用し,深部からの反射があるかどうかを明らかにする.
謝辞:本研究は東京大学地震研究所共同利用B(2023-B-04)の援助を受けました.
本研究では、主に反射探査の結果からTsumura et al.(1999)が提唱した、東北日本弧に衝突した千島弧地殻が裂けて下部地殻の一部が深部に沈み込む剥離が起こっているという作業仮説を検証する。今回は日高衝突帯前縁部に当たる浦河沖でのエアガン発震を陸域で受信する海陸統合探査を行って、既存反射断面では連続性が追えなかった剥離構造深部からの反射波を捉え、島弧間衝突の境界形状を約50㎞の深度まで明らかにすることを目指した。
2023年10月16日~11月14日まで,北海道浦河町から大樹町までの国道や林道沿いなどに陸域受信点を約250m間隔で210点設置し,現地で地動を連続収録した.サンプリング周波数は250Hzである.
海域での探査は東京大学大気海洋研究所白鳳丸共同利用研究航海(KH-23-8:2023年11月8日~12日)により実施された.海域測線は浦河の沖合い北東―南西直線上に設定され,測線の全長は50㎞,測線北東端が陸域観測点の南西端から約30㎞に位置する.海域測線下には2.5㎞~10㎞の間隔で8台の海底地震計も設置された.実際の発振は11月9日~10日に1500cu.inのエアガン4台で4ノット75秒間隔(約150m間隔)で行った.発震総数は1039である.
陸域で観測された波形を観測点記録として並べると,南西端の観測点では海域発震測線の全領域で撃ったショットの初動が往復走時10s~22s付近に見いだせた.また日高山脈を越えた帯広側の観測点でも,海域測線の陸側寄り20㎞付近で撃ったショットの初動が確認できた.今後これらの波形に反射法解析を適用し,深部からの反射があるかどうかを明らかにする.
謝辞:本研究は東京大学地震研究所共同利用B(2023-B-04)の援助を受けました.