09:00 〜 09:15
[SSS10-11] 高密度リニアアレイ微動による長尾断層の推定
キーワード:微動、リニアアレイ、長尾断層、自己相関関数、単点相互相関関数、位相速度分散曲線
讃岐山脈北縁に位置する約30 kmの長さの長尾断層帯は、香川県(1997)によって活断層調査が行われた。調査では、長尾測線と香南測線の2測線において反射法地震探査が行われ、断層の位置と形状が反射断面によって明らかになっている。反射法地震探査は断層帯の詳細な位置と形状を推定できるが、コストがかかり容易に実施できない。防災においては、主に地下構造調査では比較的コストがかからない微動探査がよく使われている。そこで、微動を高密度に観測するによって断層帯近傍の地下構造を詳細に推定することで、断層位置や形状の推定を試みる。
反射法地震探査が実施された長尾測線と香南側線において、高密度なリニアアレイ微動観測を行なった。長尾測線では、10 mごとに6個の地震計を配置する50 mのリニアアレイを組み、その次のアレイは、測線に沿って各地震計を5mずつずらした50 mのリニアアレイ配置を展開した。その次のアレイは、その前のアレイから60 m移動して展開した。アレイ観測を合計18展開し、約550 mの測線長となった。香南測線では、10 mおきに地震計を7点配置する60 mアレイを組んだ。香南測線では、アレイはオーバーラップすることなく、17展開して約1.2 kmの測線長で観測を行なった。各リニアアレイでは15分または10分間の測定を行なった。使用した機材は、JEP-6A3(10V/g)とデータロガーLS8800である。各観測点で上下成分と水平2成分の3成分の微動観測を行なった。
観測された微動について、それぞれH/Vと自己相関関数、単点相互相関関数の計算を行なった。香南測線と長尾測線のいずれの微動のH/Vにおいても、反射法地震探査により推定される断層位置を境に、数Hz帯域におけるピーク周波数とピーク値が変化している。自己相関関数および単点相互相関関数においても、断層を境に顕著に異なっている。それらの振幅は反射断面における反射面の変化とよく類似している。
さらに、地震波干渉法に基づき、2点の上下成分の相互相関関数からゼロクロッシング法(Ekstrom et al., 2009)によってレイリー波位相速度分散曲線を推定した。10 mごとに6点または7点のアレイ配置を行なっているため、10, 20, 30, 40, 50, 60 mの長さのアレイの組み合わせがあり、いずれの組み合わせから推定される分散曲線も互いにほぼ一致していた。最も長い相関距離となる50mや60mの相互相関関数からは十数Hzにおいて500 m/sほどの位相速度を推定することができ、40 Hzほどまでの位相速度を推定することができた。長尾測線においても香南測線においても断層を境に位相速度分散曲線が大きく変化した。
微動観測では現地の方々と香川大学創造工学部学生の協力を得ました。記して感謝いたします。
反射法地震探査が実施された長尾測線と香南側線において、高密度なリニアアレイ微動観測を行なった。長尾測線では、10 mごとに6個の地震計を配置する50 mのリニアアレイを組み、その次のアレイは、測線に沿って各地震計を5mずつずらした50 mのリニアアレイ配置を展開した。その次のアレイは、その前のアレイから60 m移動して展開した。アレイ観測を合計18展開し、約550 mの測線長となった。香南測線では、10 mおきに地震計を7点配置する60 mアレイを組んだ。香南測線では、アレイはオーバーラップすることなく、17展開して約1.2 kmの測線長で観測を行なった。各リニアアレイでは15分または10分間の測定を行なった。使用した機材は、JEP-6A3(10V/g)とデータロガーLS8800である。各観測点で上下成分と水平2成分の3成分の微動観測を行なった。
観測された微動について、それぞれH/Vと自己相関関数、単点相互相関関数の計算を行なった。香南測線と長尾測線のいずれの微動のH/Vにおいても、反射法地震探査により推定される断層位置を境に、数Hz帯域におけるピーク周波数とピーク値が変化している。自己相関関数および単点相互相関関数においても、断層を境に顕著に異なっている。それらの振幅は反射断面における反射面の変化とよく類似している。
さらに、地震波干渉法に基づき、2点の上下成分の相互相関関数からゼロクロッシング法(Ekstrom et al., 2009)によってレイリー波位相速度分散曲線を推定した。10 mごとに6点または7点のアレイ配置を行なっているため、10, 20, 30, 40, 50, 60 mの長さのアレイの組み合わせがあり、いずれの組み合わせから推定される分散曲線も互いにほぼ一致していた。最も長い相関距離となる50mや60mの相互相関関数からは十数Hzにおいて500 m/sほどの位相速度を推定することができ、40 Hzほどまでの位相速度を推定することができた。長尾測線においても香南測線においても断層を境に位相速度分散曲線が大きく変化した。
微動観測では現地の方々と香川大学創造工学部学生の協力を得ました。記して感謝いたします。