日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT34] 空中からの地球計測とモニタリング

2024年5月27日(月) 09:00 〜 10:15 202 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:小山 崇夫(東京大学地震研究所)、楠本 成寿(京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設)、光畑 裕司(独立行政法人 産業技術総合研究所)、上田 匠(早稲田大学)、座長:小山 崇夫(東京大学地震研究所)、楠本 成寿(京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設)、光畑 裕司(独立行政法人 産業技術総合研究所)、上田 匠(早稲田大学)

09:15 〜 09:30

[STT34-02] 磁化構造解析における地形効果の検討

*伊藤 良介1宇津木 充1 (1.京都大学理学研究科)

キーワード:磁気インバージョン解析、地形効果

地上で観測される磁気異常には、大気と地表の磁化のコントラストに起因する磁気異常、すなわち地形効果が含まれる。よって磁化構造解析の実施にあたり、地下の構造に起因する磁気異常と地形効果とを分離することは非常に重要であり、従来多くの研究者がある種のフィルタリングやモデリングスキームを用いることで、観測した磁気異常データから地形効果を分離しようと試みてきた(Grauch, 1987)。そのうち現在まで最も一般的に使用されているのが、一様に帯磁したモデル領域がつくる磁場を地形効果とする考え方である(Grauch, 1987; Makino and Kaneko, 1988)。この場合、地形効果をつくるモデル領域内で一様な磁化は、解析対象領域における岩石の平均的な磁化とみなすことができ、本研究ではこれを平均磁化と呼ぶ。

先行研究では、地形効果をつくる平均磁化の推定と磁化構造モデルの推定が二段階に分けて実施されている(e.g. Grauch, 1987; Tada et al., 2021)。しかし、この二段階推定を実施した場合に、推定モデルに歪みが生じる場合があることが分かった。この問題を解決するために、本研究では、地形効果をつくる平均磁化と、磁化構造モデルとを同時最適化するスキームを開発した。その結果、従来の二段階推定がうまく機能しない条件の悪い問題においても、平均磁化と磁化構造モデルを精度よく推定することができることが分かった。発表では、開発したスキームの有効性を示すsynthetic testの結果に加えて、岩手県に位置する姫神深成岩体の上空で取得された磁気異常データに適用した結果を紹介する。なお、姫神深成岩体の解析で使用したデータは日本空中磁気データベース(中塚・大熊, 2005)に収録されているものである。