10:00 〜 10:15
[STT34-05] 火山噴火時を想定したUAVによる自動巡回・自動撮影・自動抽出の検討
★招待講演
キーワード:無人航空機、火山災害、自動化、AI
火山噴火時に火口上空を有人航空機が飛行することは危険が伴うため、無人航空機(UAV: Unmanned Aerial Vehicle)による安全な調査が期待されている。文科省の次世代火山研究推進事業では、2016年から課題Dのサブテーマ1として「無人機(ドローン等)による火山災害のリアルタイム把握手法の開発」の検討を進めており、ここでは研究の成果の一部を紹介する。
次世代火山研究推進事業の研究では、UAVにより大量の画像を撮影し、SfM-MVS(Structure from Motion / Multi-view Stereo)技術を用いて三次元モデルを作成することを主に進めてきた。得られた三次元データから赤色立体地図を作成して、地形判読を実施することで、火山噴出物の分布範囲を把握することができる。また、差分解析により溶岩流などの火山噴出物の厚さや噴出量の推定が可能となる。
一方、三次元モデルを作成せず、インフラ分野で用いられている手法を用いて、あらかじめ設定した地点を自動巡回し、画像を撮影して、変化を抽出する方法も研究している。火山噴火時に噴気位置や地熱活動などの変化をとらえるためには定点観測が重要である。地上観測では定点を定めることで同一地点からの同一画角での観測が可能であるが、上空からの定点観測では観測の度に同一地点で観測することは難しいため、UAVの活用が期待される。有珠山2000年噴火で形成された西山山麓火口群を対象とし、実証実験を行った。使用した機材はMatrice300RTK(機体)およびH20T(カメラ)であり、「ライブミッション機能」による自動巡回および自動撮影を実施した。ライブミッションは初回の飛行で機体の位置情報とカメラの方向・ズーム等の撮影動作を記録し、2回目以降の飛行は自動で同じルート・画角で撮影する機能である。これにより、日中・夜間においてもほとんど同じ位置で画像を取得することが可能となった。
研究当初は不可能であった自動巡回・自動撮影がメーカーの技術開発によって実現可能となったこともあり、我々は取得画像の解析の高度化を行っている。三次元モデル作成の際の課題の一つが、画像に映った噴気による精度低下である。噴気は風向きによって、たなびく方向が変わるため、時間を変えてUAVを飛行させれば、噴気のない画像を得ることも可能である。噴気が存在する画像を迅速に抽出するため、撮影した垂直画像垂直を用いて、機械学習を用いた自動抽出の検討を行った(森ほか,2023)。阿蘇山2016年噴火後に撮影された画像に対して、噴気、雲、工場の煙、野火の煙の画像を用いて学習させることにより、大部分の噴気を抽出することができた。この学習モデルを用いて有珠山で撮影した斜め写真に対して自動抽出を行ったが、垂直画像と斜め画像の違いという理由もあり、抽出精度が低くなったため、斜め画像での精度向上が今後の課題となる。抽出された噴気については、斜め写真測量システムに取り込むことで、噴気の位置(緯度・経度・標高)を瞬時に特定することができる(Fig.1)。今後は画像を用いた自動抽出の高度化をはかり、噴石の到達位置や溶岩流の分布範囲などを自動抽出する手法にも取り組んでいきたい。
次世代火山研究推進事業の研究では、UAVにより大量の画像を撮影し、SfM-MVS(Structure from Motion / Multi-view Stereo)技術を用いて三次元モデルを作成することを主に進めてきた。得られた三次元データから赤色立体地図を作成して、地形判読を実施することで、火山噴出物の分布範囲を把握することができる。また、差分解析により溶岩流などの火山噴出物の厚さや噴出量の推定が可能となる。
一方、三次元モデルを作成せず、インフラ分野で用いられている手法を用いて、あらかじめ設定した地点を自動巡回し、画像を撮影して、変化を抽出する方法も研究している。火山噴火時に噴気位置や地熱活動などの変化をとらえるためには定点観測が重要である。地上観測では定点を定めることで同一地点からの同一画角での観測が可能であるが、上空からの定点観測では観測の度に同一地点で観測することは難しいため、UAVの活用が期待される。有珠山2000年噴火で形成された西山山麓火口群を対象とし、実証実験を行った。使用した機材はMatrice300RTK(機体)およびH20T(カメラ)であり、「ライブミッション機能」による自動巡回および自動撮影を実施した。ライブミッションは初回の飛行で機体の位置情報とカメラの方向・ズーム等の撮影動作を記録し、2回目以降の飛行は自動で同じルート・画角で撮影する機能である。これにより、日中・夜間においてもほとんど同じ位置で画像を取得することが可能となった。
研究当初は不可能であった自動巡回・自動撮影がメーカーの技術開発によって実現可能となったこともあり、我々は取得画像の解析の高度化を行っている。三次元モデル作成の際の課題の一つが、画像に映った噴気による精度低下である。噴気は風向きによって、たなびく方向が変わるため、時間を変えてUAVを飛行させれば、噴気のない画像を得ることも可能である。噴気が存在する画像を迅速に抽出するため、撮影した垂直画像垂直を用いて、機械学習を用いた自動抽出の検討を行った(森ほか,2023)。阿蘇山2016年噴火後に撮影された画像に対して、噴気、雲、工場の煙、野火の煙の画像を用いて学習させることにより、大部分の噴気を抽出することができた。この学習モデルを用いて有珠山で撮影した斜め写真に対して自動抽出を行ったが、垂直画像と斜め画像の違いという理由もあり、抽出精度が低くなったため、斜め画像での精度向上が今後の課題となる。抽出された噴気については、斜め写真測量システムに取り込むことで、噴気の位置(緯度・経度・標高)を瞬時に特定することができる(Fig.1)。今後は画像を用いた自動抽出の高度化をはかり、噴石の到達位置や溶岩流の分布範囲などを自動抽出する手法にも取り組んでいきたい。