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[STT35-02] 次期L-band SAR衛星による高頻度観測化を見据えた干渉SARコヒーレンスの評価
キーワード:合成開口レーダ(SAR)、コヒーレンス、ALOS-2/PALSAR-2、ALOS-4/PALSAR-3、土地被覆、土砂移動
ALOS-2の後継機として打上げが予定されているALOS-4は、観測幅の拡大に伴い、観測頻度も大きく向上する。特に日本域では最高で2週間に1回の観測が想定されており、観測間隔の短縮による変化の早期把握や、豊富なアーカイブデータによる時系列解析の精度向上などが期待されている。また、全球の陸域を12日周期で観測予定である米印のNISARなど、高頻度の観測を可能とするL-band SAR衛星の運用が他にも予定されており、高頻度L-band SARデータの活用には世界的にも注目が集まっている。このような中、干渉ペア間の時間間隔が主な劣化要因の一つである干渉SARコヒーレンス(2回のSAR観測信号間の相関であり、干渉性の度合いを示す)においても、高頻度観測によって劣化が抑えられることで、様々な活用が期待される。被害地域の把握や土地被覆の変化など、これまでにコヒーレンスが活用されてきた変化検出の分野においても、高頻度観測データによる検出精度の向上が見込まれる。一方で、これらの活用のためには、干渉ペアの時間間隔や対象とする土地被覆がコヒーレンスに与える影響を調査し、その理解に基づいてアルゴリズムを組み上げる必要がある。本研究では、ALOS-4などの次期SAR衛星の同程度の高頻度L-band SAR観測データを用いて、干渉ペアの時間間隔や土地被覆に応じたコヒーレンスの時系列的変化を調査し、変化検出への有効性や精度向上の可能性を考察した。
本研究では、2018年01月15日から2019年04月18日の期間にかけて北海道の胆振・石狩地域を観測したALOS-2のStripmap mode、3 m分解能のSLC(Single Look Complex)データを使用し、コヒーレンス解析を行った。上記のデータは一部の期間を除き、ALOS-4と同等である2週間に1回の頻度で観測されている。また、土地被覆のデータとしてJAXAが公開する「高解像度土地利用土地被覆図」のver. 21.11(10 m解像度)を使用し、計9種類の土地被覆に応じたコヒーレンスの傾向を調査した。同様に、対象シーンには2018年に発生した北海道胆振東部地震による土砂移動の一部や積雪の影響が含まれており、これらのイベントに対するコヒーレンスの応答についても確認した。干渉ペアの時間間隔に応じたコヒーレンスの違いを確認した結果、植生域を含む多くの土地被覆において、14日間隔のペアによるコヒーレンスに対し、28日間隔以上のコヒーレンスでは値が大きく低下しており、高頻度観測によって植生域の時間劣化が低下し、コヒーレンスの値が大きく改善することが確認された。また、コヒーレンスの低下具合は、土地被覆や積雪に依存して変化しており、時間劣化の小さな14日間隔のデータが得られることで、土地被覆分類や地表変化検出の有効な指標となり得ることがわかった。一方、コヒーレンスは使用するペアや観測時期によって値の変動が大きく、土砂移動を対象にコヒーレンスを用いた変化検出を行った際には、使用するデータに応じて検出結果が大きく異なった。これに対して、高頻度観測による豊富なアーカイブを活かし、時系列方向に複数のコヒーレンスを平均化したものを土砂移動前のデータとして用いることで、検出精度を大幅に向上させることができた。このことから、コヒーレンスの活用のためには、時系列にアーカイブを蓄積することが望まれる。
本研究では、2018年01月15日から2019年04月18日の期間にかけて北海道の胆振・石狩地域を観測したALOS-2のStripmap mode、3 m分解能のSLC(Single Look Complex)データを使用し、コヒーレンス解析を行った。上記のデータは一部の期間を除き、ALOS-4と同等である2週間に1回の頻度で観測されている。また、土地被覆のデータとしてJAXAが公開する「高解像度土地利用土地被覆図」のver. 21.11(10 m解像度)を使用し、計9種類の土地被覆に応じたコヒーレンスの傾向を調査した。同様に、対象シーンには2018年に発生した北海道胆振東部地震による土砂移動の一部や積雪の影響が含まれており、これらのイベントに対するコヒーレンスの応答についても確認した。干渉ペアの時間間隔に応じたコヒーレンスの違いを確認した結果、植生域を含む多くの土地被覆において、14日間隔のペアによるコヒーレンスに対し、28日間隔以上のコヒーレンスでは値が大きく低下しており、高頻度観測によって植生域の時間劣化が低下し、コヒーレンスの値が大きく改善することが確認された。また、コヒーレンスの低下具合は、土地被覆や積雪に依存して変化しており、時間劣化の小さな14日間隔のデータが得られることで、土地被覆分類や地表変化検出の有効な指標となり得ることがわかった。一方、コヒーレンスは使用するペアや観測時期によって値の変動が大きく、土砂移動を対象にコヒーレンスを用いた変化検出を行った際には、使用するデータに応じて検出結果が大きく異なった。これに対して、高頻度観測による豊富なアーカイブを活かし、時系列方向に複数のコヒーレンスを平均化したものを土砂移動前のデータとして用いることで、検出精度を大幅に向上させることができた。このことから、コヒーレンスの活用のためには、時系列にアーカイブを蓄積することが望まれる。