17:15 〜 18:45
[STT35-P03] ALOS-2観測データを用いた口永良部島の火山活動監視
キーワード:だいち2号、干渉SAR時系列解析、口永良部島、地殻変動、火山
口永良部島は、屋久島の北西に位置する火山島であり、直近では2020年2月に火砕流を伴う爆発的噴火が発生するなど活動が活発な火山の一つである。2023年6月中旬から新岳火口付近及び古岳付近の浅いところを震源とする火山性地震が増加し、下旬には古岳付近の浅いところを震源とする火山性地震がさらに増加したことにより、6月27日に噴火警戒レベルが3に引き上げられた。これを受け、陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)による緊急観測が実施された。その後も断続的に火山性地震が続いていることから、2024年1月までに30回以上の観測が実施されている。
国土地理院では、火山活動推移の監視のため、ALOS-2による緊急観測の実施後速やかに解析を行い、火山噴火予知連絡会等の関係機関に解析結果を提供している。噴火警戒レベル引上げ直後に実施された6月30日の観測データを用いて実施した干渉解析により、古岳の火口周辺数百mの範囲で約4 cmの衛星に近づく変動が検出された。この解析結果と7月7日の観測データを用いた解析結果を用いて実施した2.5次元解析(Fujiwara et al, 2000)により、古岳火口周辺の膨張傾向が明らかとなった。さらに、2021年12月から実施された30回以上の観測データを用いて実施した干渉SAR時系列解析により、2023年5月から9月までの間に、古岳火口周辺で約12 cmの衛星に近づく変動を検出した。また、干渉解析結果及び干渉SAR時系列解析結果を用いた2.5次元解析により、2023年9月までの間に古岳火口周辺で約13cmの隆起、古岳火口西側で約10cmの西向きの変動及び火口東側で約6cmの東向きの変動を検出した。
記録が残る口永良部島の噴火は全て新岳及びその周辺で発生しており、古岳で発生した最後の噴火は約200年前と考えられている(産業技術総合研究所,2007)。これまでALOS-2で検出された地殻変動も新岳周辺のみであり、古岳周辺では明瞭な変動は検出されておらず、貴重な結果が得られたものと考えている。
本発表では、ALOS-2による一連の観測データを使用した干渉解析や干渉SAR時系列解析結果の他、これらの解析結果を用いて推定した圧力源の位置や体積変化について報告・議論する予定である。
謝辞:本研究で用いたALOS-2データは、「陸域観測技術衛星2号観測データ等の高度利用に関する協定」を通じて宇宙航空研究開発機構(JAXA)から提供を受けた。原初データの所有権はJAXAにある。
国土地理院では、火山活動推移の監視のため、ALOS-2による緊急観測の実施後速やかに解析を行い、火山噴火予知連絡会等の関係機関に解析結果を提供している。噴火警戒レベル引上げ直後に実施された6月30日の観測データを用いて実施した干渉解析により、古岳の火口周辺数百mの範囲で約4 cmの衛星に近づく変動が検出された。この解析結果と7月7日の観測データを用いた解析結果を用いて実施した2.5次元解析(Fujiwara et al, 2000)により、古岳火口周辺の膨張傾向が明らかとなった。さらに、2021年12月から実施された30回以上の観測データを用いて実施した干渉SAR時系列解析により、2023年5月から9月までの間に、古岳火口周辺で約12 cmの衛星に近づく変動を検出した。また、干渉解析結果及び干渉SAR時系列解析結果を用いた2.5次元解析により、2023年9月までの間に古岳火口周辺で約13cmの隆起、古岳火口西側で約10cmの西向きの変動及び火口東側で約6cmの東向きの変動を検出した。
記録が残る口永良部島の噴火は全て新岳及びその周辺で発生しており、古岳で発生した最後の噴火は約200年前と考えられている(産業技術総合研究所,2007)。これまでALOS-2で検出された地殻変動も新岳周辺のみであり、古岳周辺では明瞭な変動は検出されておらず、貴重な結果が得られたものと考えている。
本発表では、ALOS-2による一連の観測データを使用した干渉解析や干渉SAR時系列解析結果の他、これらの解析結果を用いて推定した圧力源の位置や体積変化について報告・議論する予定である。
謝辞:本研究で用いたALOS-2データは、「陸域観測技術衛星2号観測データ等の高度利用に関する協定」を通じて宇宙航空研究開発機構(JAXA)から提供を受けた。原初データの所有権はJAXAにある。