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[SVC26-06] 阿蘇火山における火山構造性地震と噴火様式の関係
キーワード:阿蘇火山、火山構造性地震、噴火様式
火山性地震は卓越する周波数や波形の特徴からA型地震、B型地震、爆発地震、微動に分類される(Minakami,1960)。このうちA型地震は火山構造性地震とも呼ばれ、5~20Hzの高周波成分が卓越し、P波やS波が明瞭にみられるもので、マグマなどの貫入による応力の変化により生じるとされている。したがって、噴火に前駆する火山構造性地震の発生様式はマグマなどの動きを表す指標の一つであると考えられている。
近年の阿蘇火山では、火口近傍の観測網が充実されたことにより、多くの火山構造性地震の震源が決定されるようになってきた。しかし、噴火前や噴火中の火山性連続微動の振幅は大きく、その時期の地震活動状況の詳細は明らかになっていない。
そこで本研究では、阿蘇火山において2014~2021年に発生した噴火に前駆する火山構造性地震をMatched Filter法を用いて検出し、地震活動と噴火様式の関係を調査した。
気象庁が震源決定した地震のいくつかをテンプレート地震とし、その波形と連続波形の相互相関関数を0.02秒ごとずらしながら計算し、閾値を0.2として検出を行なった。また検出された地震とテンプレートの振幅比からマグニチュードの算出を行なった。
結果、たとえば2014年11月の噴火前の20日間には、M>-1以上の地震が2000個以上検出された。これは気象庁が震源決定した地震数の約50倍である。阿蘇火山では、水蒸気噴火、マグマ水蒸気噴火、マグマ噴火が阿蘇では発生した。噴火様式による前駆地震活動の差異を調べたところ、地震の検出数やマグニチュードの時間変化、積算エネルギーなどに、噴⽕様式による違いが現れた。特に、前駆地震のエネルギーは、水蒸気噴火、マグマ水蒸気噴火、マグマ噴火の順に大きくなっていた。また、2015年と2016年のマグマ水蒸気噴火の前駆地震を比較すると、爆発的噴火であった2016年の噴火直前の積算エネルギーの変化率が2015年噴火前の約50倍であった。
以上のように、前駆地震の発生様式は、噴火様式により大きく異なることが明らかになった。これは、噴火様式の予測可能性を示唆する結果である。
【謝辞】本研究は文部科学省による「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の支援を受けています。
近年の阿蘇火山では、火口近傍の観測網が充実されたことにより、多くの火山構造性地震の震源が決定されるようになってきた。しかし、噴火前や噴火中の火山性連続微動の振幅は大きく、その時期の地震活動状況の詳細は明らかになっていない。
そこで本研究では、阿蘇火山において2014~2021年に発生した噴火に前駆する火山構造性地震をMatched Filter法を用いて検出し、地震活動と噴火様式の関係を調査した。
気象庁が震源決定した地震のいくつかをテンプレート地震とし、その波形と連続波形の相互相関関数を0.02秒ごとずらしながら計算し、閾値を0.2として検出を行なった。また検出された地震とテンプレートの振幅比からマグニチュードの算出を行なった。
結果、たとえば2014年11月の噴火前の20日間には、M>-1以上の地震が2000個以上検出された。これは気象庁が震源決定した地震数の約50倍である。阿蘇火山では、水蒸気噴火、マグマ水蒸気噴火、マグマ噴火が阿蘇では発生した。噴火様式による前駆地震活動の差異を調べたところ、地震の検出数やマグニチュードの時間変化、積算エネルギーなどに、噴⽕様式による違いが現れた。特に、前駆地震のエネルギーは、水蒸気噴火、マグマ水蒸気噴火、マグマ噴火の順に大きくなっていた。また、2015年と2016年のマグマ水蒸気噴火の前駆地震を比較すると、爆発的噴火であった2016年の噴火直前の積算エネルギーの変化率が2015年噴火前の約50倍であった。
以上のように、前駆地震の発生様式は、噴火様式により大きく異なることが明らかになった。これは、噴火様式の予測可能性を示唆する結果である。
【謝辞】本研究は文部科学省による「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の支援を受けています。