17:15 〜 18:45
[SVC26-P01] ALOS-2/PALSAR-2から得られたアトサヌプリ周辺の地殻変動
キーワード：アトサヌプリ、地殻変動、干渉SAR、時系列解析
はじめに
アトサヌプリは北海道東部、屈斜路カルデラの中央に位置する活火山であり、周辺の溶岩ドームとともにアトサヌプリ火山群を形成している．
アトサヌプリでは有史以降の噴火は確認されていないが、数回の地震活動活発化が知られている（活火山総覧第4版）．このうち、1993年～94年の活動では、合成開口レーダ（JERS-1）の干渉解析から、アトサヌプリ火山群を中心に約25cmの隆起が観測され、シルへのマグマの注入によると考えられている（国土地理院, 2006; Fujiwara et al., 2017）．
この一時的な膨張イベントの後、同地域ではGNSSおよび干渉SARにより継続的な収縮が観測されており、その空間パターンは膨張と同一であった．
GNSSの基線長変化では、この継続的な収縮は2021年頃から反転した．本研究では変動の詳細な空間パターンを調査するため、ALOS-2/PALSAR-2データを用いた干渉SAR時系列解析を適用したので、その結果について報告する．
解析・使用データ
解析にはALOS-2/PALSAR-2データのパス16（東側観測・入射角42.9°）・パス17（東側観測・入射角32.3°）・パス121（西側観測・入射角36.5°）を用い、RINC（Ozawa et al., 2016）で干渉画像を作成した後、GIAnT（Agram et al., 2013）を用いて時系列解析を行った．解析期間は2014～2023年である．
解析結果
解析の結果、全てのパスでアトサヌプリ火山群において2021年までの継続的な収縮と、その後の膨張が得られた．膨張期の視線距離変化量は最大で約10cmである．また、膨張期の変動源と収縮期の変動源が同一であるかを確認するため、両者の空間パターンを比較したところ、明瞭な差異は認められなかった．2021年以降の複数期間での変動パターンの比較においても同様の結果となることから、変動源のジオメトリに大きな変化はないと考えられる．
まとめ
以上の解析結果から、アトサヌプリ火山群では1993～94年と同様のマグマ注入が発生したと考えられる．今後、マグマの更なる上昇など、1993～94年とは異なる推移を辿る可能性も否定できないため、引き続き監視が必要である．
アトサヌプリは北海道東部、屈斜路カルデラの中央に位置する活火山であり、周辺の溶岩ドームとともにアトサヌプリ火山群を形成している．
アトサヌプリでは有史以降の噴火は確認されていないが、数回の地震活動活発化が知られている（活火山総覧第4版）．このうち、1993年～94年の活動では、合成開口レーダ（JERS-1）の干渉解析から、アトサヌプリ火山群を中心に約25cmの隆起が観測され、シルへのマグマの注入によると考えられている（国土地理院, 2006; Fujiwara et al., 2017）．
この一時的な膨張イベントの後、同地域ではGNSSおよび干渉SARにより継続的な収縮が観測されており、その空間パターンは膨張と同一であった．
GNSSの基線長変化では、この継続的な収縮は2021年頃から反転した．本研究では変動の詳細な空間パターンを調査するため、ALOS-2/PALSAR-2データを用いた干渉SAR時系列解析を適用したので、その結果について報告する．
解析・使用データ
解析にはALOS-2/PALSAR-2データのパス16（東側観測・入射角42.9°）・パス17（東側観測・入射角32.3°）・パス121（西側観測・入射角36.5°）を用い、RINC（Ozawa et al., 2016）で干渉画像を作成した後、GIAnT（Agram et al., 2013）を用いて時系列解析を行った．解析期間は2014～2023年である．
解析結果
解析の結果、全てのパスでアトサヌプリ火山群において2021年までの継続的な収縮と、その後の膨張が得られた．膨張期の視線距離変化量は最大で約10cmである．また、膨張期の変動源と収縮期の変動源が同一であるかを確認するため、両者の空間パターンを比較したところ、明瞭な差異は認められなかった．2021年以降の複数期間での変動パターンの比較においても同様の結果となることから、変動源のジオメトリに大きな変化はないと考えられる．
まとめ
以上の解析結果から、アトサヌプリ火山群では1993～94年と同様のマグマ注入が発生したと考えられる．今後、マグマの更なる上昇など、1993～94年とは異なる推移を辿る可能性も否定できないため、引き続き監視が必要である．