[S-VC26] 活動的⽕⼭

[SVC26-P06] 草津白根山における重力異常解析

*長池 広樹¹、神田 径² (1.東京工業大学理学院地球惑星科学コース、2.東京工業大学科学技術創成研究院多元レジリエンス研究センター)

キーワード：重力異常、密度構造、草津白根山、比抵抗構造

草津白根山は、群馬県と長野県の県境近くに位置する成層火山である。近年水蒸気噴火を繰り返していることから、多くの地球物理学的研究が行われている。地下構造を推定するために実施された、magnetotelluric（MT）法を用いた比抵抗構造調査からは、ブーゲー重力異常と比較的浅部の比抵抗分布に良い相関がみられることが指摘された。しかしながら、重力異常を作る密度構造との比較は行われておらず、定性的な解釈にとどまっていた。そこで本研究では、草津白根山周辺の広域の重力データを用いて地下の密度構造を推定し、先行研究による比抵抗構造と比較することを目的とした。解析の結果、通常用いられている地下岩石の仮定密度では、地形の影響が十分除去されていないことが判明したため、まず、草津白根山周辺の1590点の重力データを用いて、密度構造を計算するためのブーゲー異常の最適な仮定密度を求めた。新たに推定された仮定密度2.38 g/cm³に基づくブーゲー異常に上方接続フィルター処理を施し、長波長成分を抽出して広域傾向面として除去することによって残差重力異常を求めた。得られた残差重力異常を用いてインバージョンを行い、3次元密度構造を推定した。推定された密度構造と比抵抗構造を比較したところ、比較的浅部の構造については、両者に関連性が見られ、先行研究による解釈を裏付ける結果が得られた。