15:30 〜 15:45
[SVC27-06] 市街地の降灰分布に対する建物や地物の影響について
キーワード:降灰、道路、建物、都市、計算
降灰の数値シミュレーションを行い,都市における降灰分布に対する建物影響について調べた。計算対象領域として,異なる幹線道路配置をもつ建物の密集した2つの狭い街区を選んだ。ひとつは東西×南北400m×400mの範囲で,途中で方向が20度程度変わる比較的急なカーブを持つ4車線幅の幹線道路が領域を通り抜けている。もうひとつは,東西×南北200m×550mの範囲で,領域の中心で相互にほぼ直角に交差する南北,東西方向に走る2つの幹線道路を含んでいる。そのうち南北方向の道路には,東西方向道路を超える長さ450m, 高さ10mで,両側に高さ3.5mの防音壁を持つ4車線幅のオーバーパス型の立体交差橋が道路付帯施設として含まれており,計算領域の中で近似的にではあるが陽に表現される。道路は,災害時の緊急対応や復興にとって重要な施設であるため,本研究での検討対象のひとつに含めた。建物や道路を含む建物間の空間,道路付属施設などは,水平,鉛直方向の最小格子間隔がそれぞれ2mおよび0.5mの直交直線格子上で離散化される。
降灰計算モデルは,Euler形式で書かれた火山灰粒子の運動方程式および浮遊火山灰空間濃度の輸送方程式からなる。これらの方程式系は火山灰粒子の粒径別に書いてあり,粒子の重力沈降,粒子と気流との間の空気力学的抵抗力1)が考慮されている。粒子の運動方程式を解いているので,火山灰拡散における粒子慣性力の効果が含まれたものになっている。粒子サイズとして62.5, 125, 250, 500, 1000, 2000μmの6つを考慮した。このモデルを用いて,有風時を対象とて計算領域内における火山灰空間濃度および地面への降灰強度を計算した。計算領域への火山灰の流入は、単位濃度をもつ浮遊火山灰が,風上側側面境界および上面境界において,水平方向には風速,鉛直方向には終端落下速度の合成速度をもつ状態で流入するとした。
降灰計算によって,市街地での降灰時の空間濃度や地面への降灰強度の分布に対し,建物などの地表面粗度要素が大きく影響することが示された。幹線道路の方向が,ここで考慮したような20°程度に急な変化をする場合のカーブの前後での積灰状況の違い,あるいは,立体交差橋斜路が風上に向いている場合,風下に向いている場合の積灰状況の違い、などが顕著に生じる可能性が示された。これらは降灰災害時に生じ得る事象の一例である。なお,当日の発表では,火山灰空間濃度に関し,建物機能被害への影響や緩和策につながる事項についても言及する。
降灰計算モデルは,Euler形式で書かれた火山灰粒子の運動方程式および浮遊火山灰空間濃度の輸送方程式からなる。これらの方程式系は火山灰粒子の粒径別に書いてあり,粒子の重力沈降,粒子と気流との間の空気力学的抵抗力1)が考慮されている。粒子の運動方程式を解いているので,火山灰拡散における粒子慣性力の効果が含まれたものになっている。粒子サイズとして62.5, 125, 250, 500, 1000, 2000μmの6つを考慮した。このモデルを用いて,有風時を対象とて計算領域内における火山灰空間濃度および地面への降灰強度を計算した。計算領域への火山灰の流入は、単位濃度をもつ浮遊火山灰が,風上側側面境界および上面境界において,水平方向には風速,鉛直方向には終端落下速度の合成速度をもつ状態で流入するとした。
降灰計算によって,市街地での降灰時の空間濃度や地面への降灰強度の分布に対し,建物などの地表面粗度要素が大きく影響することが示された。幹線道路の方向が,ここで考慮したような20°程度に急な変化をする場合のカーブの前後での積灰状況の違い,あるいは,立体交差橋斜路が風上に向いている場合,風下に向いている場合の積灰状況の違い、などが顕著に生じる可能性が示された。これらは降灰災害時に生じ得る事象の一例である。なお,当日の発表では,火山灰空間濃度に関し,建物機能被害への影響や緩和策につながる事項についても言及する。