[S-VC28] 火山の熱水系

[SVC28-P06] 3次元比抵抗構造から推定される志賀火山のマグマ熱水系

石吾 樹生¹、*神田 径²、松永 康生³、吉田 友宜晴¹ (1.東京工業大学理学院地球惑星科学コース、2.東京工業大学科学技術創成研究院多元レジリエンス研究センター、3.東京大学地震研究所)

キーワード：比抵抗構造、熱水系、志賀火山、草津白根山

活火山である草津白根山に隣接する志賀火山は第四紀の火山であり、最近の地質学的研究の進展により、完新世の活動と将来のマグマ活動および熱水活動の可能性が明らかになりつつある。これまで志賀火山にを対象とした地球物理学的研究はほとんどないが、 Matsunaga et al. (2022) は、志賀火山の一部を含む、草津白根山を中心とした広範囲の比抵抗構造を明らかにした。しかし、志賀火山周辺では観測点がまばらなため、推定された構造の分解能が低い。従って、志賀火山の詳細な地下構造や、草津白根山のマグマ熱水系と志賀火山のマグマ熱水系との関係などはまだ明らかになっていない。

本研究では、先行研究で得られた草津白根山周辺の広帯域MTデータに加え、志賀火山および高山村周辺で新たに得られたMTデータに基づいた、2種類の3次元比抵抗構造モデルについて報告する。志賀火山周辺の浅部構造と志賀火山から草津白根山までの広い範囲を対象とした2つのモデルを異なる条件で推定した。その結果、地下浅部モデルでは、志賀火山直下に中程度の低比抵抗帯が存在し、地表付近および志賀火山北方にはこれまでの研究では検出されていなかった高比抵抗帯が存在することが判明した。深部構造モデルでは、志賀火山の浅部から先行研究で推定されたマグマ供給系に達する深さまで広がる、ほぼ垂直な低比抵抗構造の存在を示した。