日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC28] 火山の熱水系

2024年5月30日(木) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:藤光 康宏(九州大学大学院工学研究院地球資源システム工学部門)、神田 径(東京工業大学科学技術創成研究院多元レジリエンス研究センター)、谷口 無我(気象庁気象研究所)

17:15 〜 18:45

[SVC28-P09] 火山ガスのCO2湿式分析法の改善

*谷口 無我1、大場 武2 (1.気象庁気象研究所、2.東海大学理学部化学科)

キーワード:火山ガス、CO2、微量拡散分析、固定剤不要の分析ユニット

マグマ性ガスの活発な放出を伴う火山の活動評価には例えば紫外分光法を用いたSO2放出量の測定などの遠隔観測(Mori et al., 2005)が有効であるが, 顕著なSO2放出を伴わない熱水系が発達する火山における活動異常や噴火の前兆把握には火山ガスを直接採取してCO2/H2S比やCO2/CH4比などの化学組成を繰り返し分析することが有効な手法となる(例えば,Ohba et al., 2019a and b). 一方, 火山ガスの化学分析方法の確立は古く(例えば, 小沢, 1968), これを改良することは化学観測の負担軽減・頻度向上に貢献すると期待される. 本研究では, 火山ガスの主成分の一つであるCO2の分析方法の改良を試みた.

一般に, 火山ガスや火山性CO2を高濃度で溶存する火山湖の水などは, アルカリ溶液に吸収させて採取する(小沢, 1968; Giggenbach and Goguel, 1989; Kusakabe et al., 2000). 溶液中のCO2の湿式分析法にはアルカリ度測定による換算や微量拡散分析法などがあるが(例えば, Dixon and Kell, 1998), 火山ガスの直接採取に基づく近年の研究では後者を使った事例が多い(Ohba et al., 2019a and b; 2021). これは皿型の微量拡散分析ユニットの中で試料溶液を酸性化することで発生させたCO2を水酸化バリウム溶液に吸収させ, 残った水酸化バリウムを標準酸によって滴定することでCO2を定量する方法である(Conway, 1950; 猿橋, 1955; 小沢, 1968). しかしながら, 従来法では分析ユニットからのCO2の出入りを遮断するための気密材の塗布および分析後の洗浄は手間を要し, また分析ユニットを密閉した後に試料溶液を酸性化してCO2を発生させる所作には相当な熟練を要するなどの課題があった. 本研究ではこれらの課題を改善するために, 試料溶液と酸を意図したタイミングで混合するための小型の反応槽をプラスチック材の切削で作成し, これをシャーレとともに市販のネジ口ガラス容器に格納することで, 気密材塗布不要の微量拡散分析ユニットを構成した. 新たに構成した分析ユニットを使い, 0.1mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液0.3mLを模擬試料としてCO2の回収試験を実施したところ, 回収率は94~105%であった. 本ユニットを火山ガスのCO2分析に用いることで, 火山における化学観測の負担を軽減し, 観測の頻度が向上すると期待される.