17:15 〜 18:45
[SVC31-P02] 雲仙の溶岩の気泡と結晶の分布の解析:大きな気泡は必ず結晶と一緒に存在するのか?

キーワード:気泡、結晶、マグマ
マグマからの脱ガスは噴火様式を支配する。マグマの上昇に伴う減圧による液相と固相の体積変化は僅かであるが、気相は大きく膨張して爆発的噴火につながる。しかし、気泡のネットワークや割れ目を通した脱ガスが起これば、非爆発噴火へとつながる。そのため、合体によって連結した気泡が発達し、浸透性が高まるメカニズムは広く研究されている。ここで、もし気泡が結晶の表面で安定して存在できるなら、結晶は気泡の連結構造の維持に役立つ可能性がある。私たちは、気泡の合体に対する結晶の重要性を知るために気泡と結晶の位置関係を調べた。
本研究では、雲仙普賢岳1991年~1995年噴火の溶岩サンプルを解析した。サンプルは、1991年6月11日のブルカノ式噴火で噴出したパン皮状火山弾と、一連の噴火活動の最後に噴出した2種類のスパインの岩石である。ImageJプラグインWekaを用いて、8-bitグレースケールの三次元X線コンピューター断層撮影(CT)画像を気泡、結晶、メルトに分離した。分離した画像を基に、気泡と結晶の位置関係と気泡サイズ分布を調べた。気泡サイズは気泡と等積の球の半径で計算した。また、放射光ラミノグラフィでスパインの薄片を測定した。
その結果、90 vol%以上の気泡が結晶に接すると分かった。結晶に接する気泡サイズ分布は冪乗則に従い、サイズに幅があったが、結晶に接しない気泡サイズ分布は指数分布であり、小さな気泡しか存在しなかった。放射光ラミノグラフィによるスパインの観察では、気泡がマイクロライトを囲む様子が見られた。
これらの結果から、大きな気泡は結晶を核形成場所として利用して深部で形成し、成長と合体を経て冪乗分布を作ったと推測する。つまり、大きな気泡が結晶に接するのは、それらが結晶表面を利用した不均質核形成で形成したからであると考える。これに対し、結晶に接しない気泡は火道浅部で核形成したため、合体などによる改変を受けていない可能性がある。結晶を囲む気泡は連結構造を示す。この構造は浸透性を高め、脱ガスにつながったかもしれない。
本研究では、雲仙普賢岳1991年~1995年噴火の溶岩サンプルを解析した。サンプルは、1991年6月11日のブルカノ式噴火で噴出したパン皮状火山弾と、一連の噴火活動の最後に噴出した2種類のスパインの岩石である。ImageJプラグインWekaを用いて、8-bitグレースケールの三次元X線コンピューター断層撮影(CT)画像を気泡、結晶、メルトに分離した。分離した画像を基に、気泡と結晶の位置関係と気泡サイズ分布を調べた。気泡サイズは気泡と等積の球の半径で計算した。また、放射光ラミノグラフィでスパインの薄片を測定した。
その結果、90 vol%以上の気泡が結晶に接すると分かった。結晶に接する気泡サイズ分布は冪乗則に従い、サイズに幅があったが、結晶に接しない気泡サイズ分布は指数分布であり、小さな気泡しか存在しなかった。放射光ラミノグラフィによるスパインの観察では、気泡がマイクロライトを囲む様子が見られた。
これらの結果から、大きな気泡は結晶を核形成場所として利用して深部で形成し、成長と合体を経て冪乗分布を作ったと推測する。つまり、大きな気泡が結晶に接するのは、それらが結晶表面を利用した不均質核形成で形成したからであると考える。これに対し、結晶に接しない気泡は火道浅部で核形成したため、合体などによる改変を受けていない可能性がある。結晶を囲む気泡は連結構造を示す。この構造は浸透性を高め、脱ガスにつながったかもしれない。