09:52 〜 10:17
[U01-03] Mass and energy transport in subduction system as supercritical geothermal resources
★Invited Papers
キーワード:超臨界流体、物質とエネルギー循環、沈み込み帯、地熱エネルギー、超臨界地熱資源
沈み込み帯に位置する我が国では、地震や火山噴火などの地球科学的事象において、物質やエネルギーの輸送過程の解明が重要である。また、持続可能な人類社会を支える地球を維持するためには、エネルギー・金属資源の安定供給とカーボンニュートラルの実現が喫緊の課題である。現在進めている研究プロジェクト、"Sustainable Terrestrial Energy & Resources (SusTER)"は、SDGs志向の社会を実現する上で、エネルギーと資源の両面で日本のゲームチェンジャーとなり得るであろう。NEDO(新エネルギー開発機構)は、超臨界地熱資源開発を進めており、現在4つの候補地がパイロット掘削の候補地となっている。
熱水活動と鉱化を伴う花崗岩-斑岩系は、超臨界地熱流体の存在下でストックワーク型の割れ目系が形成され、エネルギーと金属のための深部地熱貯留層を研究するための適切な天然アナログと考えられる。このような条件下で、この“Beyond Brittle“超臨界地熱貯留層を理解するために、岩石学と流体包有物の研究に基づき、割れ目ネットワークとその形成メカニズムを明らかにしている(Tsuchiya et al.2016)
脆性-延性遷移(BDT)が浸透率を極端に低下させるされているが、我々の実験的検討から超臨界流体からなる潜在的に開発可能な地熱資源(浸透率>10^16 m2)が存在する可能性を指摘している。例えば沈み込み帯でも大陸地殻を形成する花崗岩類に潜在的に開発可能な資源が存在する可能性を示唆し、浸透率挙動に関する経験式から、450℃を超える開発可能な資源が、深さ2~6kmで形成される可能性を示唆している(Watanabe et al., 2017)
超臨界流体の熱力学的挙動や鉱物平衡は、低密度領域の溶解種に対するHelgeson-Kirkham-Flowers(HKF)静電モデルが適用できないために不安定である。本研究グループでは、熱水溶液中におけるアルバイト-K-長石-石英の溶解平衡を400℃、420℃、20-35MPaの条件下で実験的に調べ、実験結果と熱力学計算結果を比較し,SUPCRT92で利用可能なHKFモデルに基づく熱力学データを水密度の低い領域に外挿した。その結果、超臨界・低密度熱水条件下においても、外挿データが長石-流体平衡を評価するための第一近似として有用であることが示唆されている(Okamoto et al., 2021)。
エネルギー問題は単なる地球科学の問題ではなく,社会的にも重要な意味を持つ。沈み込み帯でのエネルギー循環の全体像を理解し、あわせて地球科学的な研究と社会科学的な視点からの分析を組み合わせる必要がある。
本講演では,超臨界地熱資源開発に関する研究の現状を、沈み込み帯における流体の物質・エネルギー輸送の観点から述べたい。
熱水活動と鉱化を伴う花崗岩-斑岩系は、超臨界地熱流体の存在下でストックワーク型の割れ目系が形成され、エネルギーと金属のための深部地熱貯留層を研究するための適切な天然アナログと考えられる。このような条件下で、この“Beyond Brittle“超臨界地熱貯留層を理解するために、岩石学と流体包有物の研究に基づき、割れ目ネットワークとその形成メカニズムを明らかにしている(Tsuchiya et al.2016)
脆性-延性遷移(BDT)が浸透率を極端に低下させるされているが、我々の実験的検討から超臨界流体からなる潜在的に開発可能な地熱資源(浸透率>10^16 m2)が存在する可能性を指摘している。例えば沈み込み帯でも大陸地殻を形成する花崗岩類に潜在的に開発可能な資源が存在する可能性を示唆し、浸透率挙動に関する経験式から、450℃を超える開発可能な資源が、深さ2~6kmで形成される可能性を示唆している(Watanabe et al., 2017)
超臨界流体の熱力学的挙動や鉱物平衡は、低密度領域の溶解種に対するHelgeson-Kirkham-Flowers(HKF)静電モデルが適用できないために不安定である。本研究グループでは、熱水溶液中におけるアルバイト-K-長石-石英の溶解平衡を400℃、420℃、20-35MPaの条件下で実験的に調べ、実験結果と熱力学計算結果を比較し,SUPCRT92で利用可能なHKFモデルに基づく熱力学データを水密度の低い領域に外挿した。その結果、超臨界・低密度熱水条件下においても、外挿データが長石-流体平衡を評価するための第一近似として有用であることが示唆されている(Okamoto et al., 2021)。
エネルギー問題は単なる地球科学の問題ではなく,社会的にも重要な意味を持つ。沈み込み帯でのエネルギー循環の全体像を理解し、あわせて地球科学的な研究と社会科学的な視点からの分析を組み合わせる必要がある。
本講演では,超臨界地熱資源開発に関する研究の現状を、沈み込み帯における流体の物質・エネルギー輸送の観点から述べたい。