[U-15] 2024年能登半島地震(1:J)

[U15-02] 能登半島周辺海域の活断層と2024年能登半島地震との関係

★招待講演

*岡村 行信¹、井上 卓彦²、佐藤 智之²、大上 隆史¹ (1.国立研究開発法人産業技術総合研究所活断層・火山研究部門、2.国立研究開発法人産業技術総合研究所地質情報研究部門)

キーワード：活断層、2024年能登半島地震、断層変位、反射探査断面

産業技術総合研究所では，1988年に能登半島周辺海域で広域的にエアガンを用いた反射探査を実施し，2007年及び2008年に能登半島北部周辺の水深150m付近までの海域でブーマーを用いた高分解能反射探査を実施した．井上・岡村（2010）は，それら調査で得られた反射断面の解析に基づいて，能登半島北部沿岸海域の活断層分布を明らかにし，岡村（2019）はより広域の日本海の活断層の分布を明らかにした．それらによって，能登半島北部西岸の南西沖約40㎞付近から，能登半島北岸沖を通過し，半島北東端の北東沖約30㎞付近までの長さ約130㎞の範囲に，南東傾斜の逆断層群が断続的に連続することが明らかになった．その南西部では2007年能登半島地震が発生している．これら南東傾斜の逆断層の北東側には富山トラフ西縁に沿って北西傾斜の逆断層が，また南西側でも複数の北西傾斜の逆断層が形成されている．日本海における大規模地震に関する調査検討会（2014）では，それらの情報を用いて，能登半島北岸では長さ約94㎞の南東傾斜の逆断層（F43）でMw7.6の地震が，その北東側では長さ約56㎞の北西傾斜の逆断層（F42）でMw7.3の地震が発生すると想定し，津波の規模を公表していた．
2024年能登半島地震後の地震活動は上記のF42及びF43を含む長さ約150kmにわたって広がった．本報告では上記の地震前から明らかにされていた活断層と，2024年能登半島地震によって生じた海底の変位及び各種調査観測によって明らかになっている地震像との比較検討を行う．
文献
井上・岡村（2010）https://www.gsj.jp/researches/project/coastal-geology/results/s-1.html．
岡村（2019）地震，71, 185-199.
日本海における大規模地震に関する調査検討会（2014）https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/daikibojishinchousa/