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[U15-P43] 令和６年能登半島地震の震度分布の特徴
キーワード：令和6年能登半島地震、推計震度分布図、IXAC41、震度
１．背景
石川県能登地方では、2020年12月から地震活動が継続しており、2024年１月１日16時10分頃に発生した石川県能登地方の地震では、「輪島市門前町走出」（※１）及び 「志賀町香能」（※２）において震度７を観測しており、能登半島を中心に強い揺れによる甚大な被害が広範囲に発生した。陸域でマグニチュード7.0以上かつ最大震度５強以上の基準を満たしたことから、今回の地震及び2020年12月以降の一連の地震活動について、気象庁は名称を「令和６年能登半島地震」と定めた。
気象庁は、地震災害を防止・軽減するため、気象庁のみならず関係機関から収集したデータも使用し、緊急地震速報や、地震情報、推計震度分布図など、地震被害防止・軽減に向けた予測や観測データに基づく情報を地震発生直後から提供している。これらの情報は、地震災害の把握、救援、復旧に資する極めて重要な情報と位置付けられている。特に推計震度分布図は、2023年２月１日から、従来よりも高解像度化・高精度化した図情報の提供を行っている。具体的には、従来の１kmメッシュから250mメッシュに高解像度化したことで、より詳細に震度分布を把握することが可能となっている。また、高精度化としては、震度を推計する手法に緊急地震速報の震度予測技術を用いることで、停電等で震度データが入手できない観測点があった場合でも高い精度の推計震度分布図を作成・提供することが可能となった。
２．推計震度分布図の有効性
2024年１月１日16時10分頃に発生した石川県能登地方の地震では、地震発生後約10分程度で推計震度分布図（IXAC41）を発表した。能登半島のほぼ全域が震度６弱以上となっている可能性があることが推計震度分布図において示されており、これらの地域では耐震性の低い木造建築が倒壊したり、がけ崩れや地滑りが発生している可能性があることを、地震発生直後の間もない時間で把握することができた。また、この地震においては、「震度５弱以上と考えられるが現在震度を入手していない」として地震情報で発表された震度観測点が３点（下記）存在するが、後日入手できたこれらの震度観測点の震度を調べたところ、以下の通り、地震発生当日に発表した推計震度分布図におけるこれらの震度観測点での推計震度とほぼ合致していることが判明した。このことは、障害等で震度データが入手できない地域の震度を把握するツールとして、推計震度分布図が有効であることを示している。
○震度５弱以上と推定され震度データが入電していなかった震度観測点の震度
観測点名：輪島市門前町走出（※１） 推計した震度：６強 観測した震度：７（計測震度6.5）
観測点名：能登町松波（※１） 推計した震度：６強 観測した震度：６強（計測震度6.2）
観測点名：能登町柳田（※１） 推計した震度：６弱 観測した震度：６弱（計測震度5.8）
３．揺れの特徴について
令和６年能登半島地震における震度観測点の揺れの特徴についても調査を行い、2024年１月１日16時10分頃に発生した石川県能登地方の地震では、輪島市鳳至町（※３）や珠洲市三崎町（※３）では、震度５強相当以上の揺れが約50秒程度あったことが推測された。一方、2024年１月６日23時20分頃の能登半島沖の地震では、「志賀町香能」においてのみ震度６弱を観測し、その他の震度観測点では震度３以下を観測したのみであり、「志賀町香能」の地震波形を調査したところ、強い揺れの時間がごく短く、ハーモニックな特徴を有していたことが分かった。
【推計震度分布ウェブサイト】
URL：https://www.jma.go.jp/bosai/map.html#contents=estimated_intensity_map
※１ 石川県が設置した震度計
※２ 国立研究開発法人防災科学技術研究所が設置したK-NET観測点
※３ 気象庁が設置した震度計
謝辞
震度情報ネットワークの各自治体が設置した震度計のデータ及び国立研究開発法人防災科学技術研究所が整備した強震観測網のデータを使用させていただいた。
石川県能登地方では、2020年12月から地震活動が継続しており、2024年１月１日16時10分頃に発生した石川県能登地方の地震では、「輪島市門前町走出」（※１）及び 「志賀町香能」（※２）において震度７を観測しており、能登半島を中心に強い揺れによる甚大な被害が広範囲に発生した。陸域でマグニチュード7.0以上かつ最大震度５強以上の基準を満たしたことから、今回の地震及び2020年12月以降の一連の地震活動について、気象庁は名称を「令和６年能登半島地震」と定めた。
気象庁は、地震災害を防止・軽減するため、気象庁のみならず関係機関から収集したデータも使用し、緊急地震速報や、地震情報、推計震度分布図など、地震被害防止・軽減に向けた予測や観測データに基づく情報を地震発生直後から提供している。これらの情報は、地震災害の把握、救援、復旧に資する極めて重要な情報と位置付けられている。特に推計震度分布図は、2023年２月１日から、従来よりも高解像度化・高精度化した図情報の提供を行っている。具体的には、従来の１kmメッシュから250mメッシュに高解像度化したことで、より詳細に震度分布を把握することが可能となっている。また、高精度化としては、震度を推計する手法に緊急地震速報の震度予測技術を用いることで、停電等で震度データが入手できない観測点があった場合でも高い精度の推計震度分布図を作成・提供することが可能となった。
２．推計震度分布図の有効性
2024年１月１日16時10分頃に発生した石川県能登地方の地震では、地震発生後約10分程度で推計震度分布図（IXAC41）を発表した。能登半島のほぼ全域が震度６弱以上となっている可能性があることが推計震度分布図において示されており、これらの地域では耐震性の低い木造建築が倒壊したり、がけ崩れや地滑りが発生している可能性があることを、地震発生直後の間もない時間で把握することができた。また、この地震においては、「震度５弱以上と考えられるが現在震度を入手していない」として地震情報で発表された震度観測点が３点（下記）存在するが、後日入手できたこれらの震度観測点の震度を調べたところ、以下の通り、地震発生当日に発表した推計震度分布図におけるこれらの震度観測点での推計震度とほぼ合致していることが判明した。このことは、障害等で震度データが入手できない地域の震度を把握するツールとして、推計震度分布図が有効であることを示している。
○震度５弱以上と推定され震度データが入電していなかった震度観測点の震度
観測点名：輪島市門前町走出（※１） 推計した震度：６強 観測した震度：７（計測震度6.5）
観測点名：能登町松波（※１） 推計した震度：６強 観測した震度：６強（計測震度6.2）
観測点名：能登町柳田（※１） 推計した震度：６弱 観測した震度：６弱（計測震度5.8）
３．揺れの特徴について
令和６年能登半島地震における震度観測点の揺れの特徴についても調査を行い、2024年１月１日16時10分頃に発生した石川県能登地方の地震では、輪島市鳳至町（※３）や珠洲市三崎町（※３）では、震度５強相当以上の揺れが約50秒程度あったことが推測された。一方、2024年１月６日23時20分頃の能登半島沖の地震では、「志賀町香能」においてのみ震度６弱を観測し、その他の震度観測点では震度３以下を観測したのみであり、「志賀町香能」の地震波形を調査したところ、強い揺れの時間がごく短く、ハーモニックな特徴を有していたことが分かった。
【推計震度分布ウェブサイト】
URL：https://www.jma.go.jp/bosai/map.html#contents=estimated_intensity_map
※１ 石川県が設置した震度計
※２ 国立研究開発法人防災科学技術研究所が設置したK-NET観測点
※３ 気象庁が設置した震度計
謝辞
震度情報ネットワークの各自治体が設置した震度計のデータ及び国立研究開発法人防災科学技術研究所が整備した強震観測網のデータを使用させていただいた。