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[U15-P51] 既存地震探査データから見る2024年能登半島地震震源域東端付近の地殻構造
キーワード：2024年能登半島地震、地震探査、MCS、日本海、地殻構造、富山トラフ
日本海では、2007年新潟県中越沖地震（MJ6.8）以降、複数の調査観測研究プロジェクトを通じて、地震発生帯に関わる様々な観測・研究が展開された。海洋研究開発機構（JAMSTEC）は東京大学地震研究所と連携して、主に「かいれい」を用いた地震探査を行い、日本海の震源断層と地殻構造の関係に関する調査研究を進めてきた。また、これらのデータは、近年公表された日本海における震源断層モデル（日本海における大規模地震に関する調査検討会, 2014; 佐藤・他, 2021）の構築に使用された。
2024年能登半島地震（MJ7.6）は、4月7日の段階で余震分布が海陸にまたがって北東-南西走向で約150 kmにわたって広がった（気象庁, 2024）が、JAMSTECの調査船が過去に行った地震探査のうち、2007年（Cruise ID: KR07-E01）と2009年（Cruise ID: KR09-09・KY09-06）の航海で実施した地震探査測線の一部が能登半島地震の余震域東端を横切っている（No et al. 2009; 野・他, 2014）。実施した測線と余震分布との対応を比較すると、余震域の東端において、測線S-2とEMJS0903とEMJS09Bが横切っており、上述の震源断層モデルにおいて北西傾斜（断層モデルNT2・NT3［佐藤・他, 2021］、F42［日本海における大規模地震に関する調査検討会, 2014］）および南東傾斜（断層モデルNT4［佐藤・他, 2021］、断層モデルF43［日本海における大規模地震に関する調査検討会, 2014］）の逆断層の矩形モデルに対応している。
例えば、測線S-2に関しては、断層モデルNT2・NT3が富山トラフと能登半島沖大陸棚の境に設定されており、反射法地震探査断面でみると、大陸棚側に北西方向へ傾斜した逆断層を伴って形成されたとみられる非対称な背斜がイメージされている。地形上は背斜の頂部とトラフ底で1 km程度の比高であるが、堆積層の基盤に相当する反射面に関しては約2 kmの段差が生じている。一方、断層モデルNT4に対応する部分は、大陸棚内において、南東傾斜の逆断層を伴って形成されたとみられる非対称な背斜がイメージされており、日本海で認められるインバージョンテクトニクスが作用した断層にも見える。断層を境にした基盤の段差自体は、NT2・3に対応する領域ほど大きくはみえず、1 km以下である。また、いずれの断層に関して、基盤下の地殻内に断層に対応するとみられる反射面は認められない。
測線EMJS0903に関しては、断層モデルNT2に相当する北西傾斜の逆断層を伴って形成された非対称な背斜が明瞭にイメージされている。背斜の頂部は浸食されているようなイメージになっているが、基盤の段差は約2 km生じている。この背斜を形成している北西傾斜の逆断層は、海底地形で見ると明瞭に接続はしていないが、同様にS-2でも認められる北西傾斜の逆断層に対応しているとみられる。一方、南東方向へ傾斜している逆断層を伴った短縮構造も認められるが、NT2に相当する北西傾斜の短縮構造と比較すると、顕著な発達はしていない。
本発表では、2024年能登半島地震余震域東端を横切っている測線を中心に、過去にJAMSTECの調査船が実施した地震探査から得られている余震域東端周辺の地殻構造について報告する。
2024年能登半島地震（MJ7.6）は、4月7日の段階で余震分布が海陸にまたがって北東-南西走向で約150 kmにわたって広がった（気象庁, 2024）が、JAMSTECの調査船が過去に行った地震探査のうち、2007年（Cruise ID: KR07-E01）と2009年（Cruise ID: KR09-09・KY09-06）の航海で実施した地震探査測線の一部が能登半島地震の余震域東端を横切っている（No et al. 2009; 野・他, 2014）。実施した測線と余震分布との対応を比較すると、余震域の東端において、測線S-2とEMJS0903とEMJS09Bが横切っており、上述の震源断層モデルにおいて北西傾斜（断層モデルNT2・NT3［佐藤・他, 2021］、F42［日本海における大規模地震に関する調査検討会, 2014］）および南東傾斜（断層モデルNT4［佐藤・他, 2021］、断層モデルF43［日本海における大規模地震に関する調査検討会, 2014］）の逆断層の矩形モデルに対応している。
例えば、測線S-2に関しては、断層モデルNT2・NT3が富山トラフと能登半島沖大陸棚の境に設定されており、反射法地震探査断面でみると、大陸棚側に北西方向へ傾斜した逆断層を伴って形成されたとみられる非対称な背斜がイメージされている。地形上は背斜の頂部とトラフ底で1 km程度の比高であるが、堆積層の基盤に相当する反射面に関しては約2 kmの段差が生じている。一方、断層モデルNT4に対応する部分は、大陸棚内において、南東傾斜の逆断層を伴って形成されたとみられる非対称な背斜がイメージされており、日本海で認められるインバージョンテクトニクスが作用した断層にも見える。断層を境にした基盤の段差自体は、NT2・3に対応する領域ほど大きくはみえず、1 km以下である。また、いずれの断層に関して、基盤下の地殻内に断層に対応するとみられる反射面は認められない。
測線EMJS0903に関しては、断層モデルNT2に相当する北西傾斜の逆断層を伴って形成された非対称な背斜が明瞭にイメージされている。背斜の頂部は浸食されているようなイメージになっているが、基盤の段差は約2 km生じている。この背斜を形成している北西傾斜の逆断層は、海底地形で見ると明瞭に接続はしていないが、同様にS-2でも認められる北西傾斜の逆断層に対応しているとみられる。一方、南東方向へ傾斜している逆断層を伴った短縮構造も認められるが、NT2に相当する北西傾斜の短縮構造と比較すると、顕著な発達はしていない。
本発表では、2024年能登半島地震余震域東端を横切っている測線を中心に、過去にJAMSTECの調査船が実施した地震探査から得られている余震域東端周辺の地殻構造について報告する。