[U-15] 2024年能登半島地震(1:J)

[U15-P66] JISLaD(地盤情報システム)における2024年能登半島地震によるGEONET観測点の地震時変位

*島田 誠一¹、田部井 隆雄¹、藤井 綾香¹、多田 吉成¹、伊藤 広和¹、里村 幹夫¹ (1.株式会社日豊)

キーワード：能登半島地震、GNSS、地震時変位、GEONET

株式会社日豊では，東アジア及び周辺に位置するIGS点を基準点として，GEONET全点の毎日の観測データをGAMIT/GLOBKプログラム及びBerneseソフトウェアを用いて解析し，その結果の日値座標値解をJISLaD（地盤情報システム）内に蓄積するとともに，各点の変動をWebサイトにて提供している（伊藤ほか, 2015など）．
本発表では，GAMIT/GLOBKプログラムを用いた解析により，2024年能登半島地震の地震時変位を検出した結果を報告する．解析では，2023年12月24日から30日までの期間の観測データを地震前，2024年1月2日から8日までの期間を地震後として用いた．JISLaDでは，約1300点のGEONET全点を39グループに分け,GAMITプログラムにより日値座標値を求めている．それぞれの日の日値GAMIT解からGLOBKプログラムを用いてGEONET全点の日値座標値解を求め，さらに地震前及び地震後の合計14日分の日値解にGLOBKのKalmanフィルターを適用して地震時変位を求めた．
JISLaDのWebサイトでは，震央から約60kmまでの近地(near)，約200kmまでの中間地(midst)および約400kmまでの遠地(far)の範囲における，水平変位及び上下変位を，スケールを変えて地図上にプロットし公開している（https://www.jislad.com/inspection/index.html）．このうち，ここではfarの図を示す．
　地震時変位の水平成分は．CMT解など地震波を用いた発震機構解による断層モデルが示すほぼpureな dip slipと調和し，多くの観測点が震央方向に向かっている．一方で上下成分は，関東地方から長野県・静岡県辺りまで隆起を示しているのに対し，岐阜県・愛知県辺りから近畿地方まで沈降を示し，北関東以北では隆起と沈降の両方の地域が混在している．
　本発表では，遠地及び中間地の範囲の観測点における地震時変位の水平及び上下変動のパターンを，CMT解などの発震機構解に基づく断層モデルから推定される変位パターンと比較し，おおよそ矛盾なく説明できるのかどうかも検討する．