[U-15] 2024年能登半島地震(1:J)

[U15-P70] 能登半島地震による津波の発電所施設における観測記録を用いた考察及び津波波源の推定

*二木 敬右¹、米山 望²、浜田 昌明³、吉池 朋洋³ (1.金沢大学自然科学研究科環境デザイン学専攻(北陸電力株式会社)、2.京都大学防災研究所、3.北陸電力株式会社)

キーワード：海域活断層、波源モデル、観測記録の再現

令和６年１月１日16時10分頃石川県能登地方の深さ約15㎞を震源とするMj7.6の地震が発生し，その後大津波警報が発令され，能登半島を中心に沿岸域に津波が到達したことが沿岸の験潮所等で確認されている．また，能登地方の広範囲で地震による震度６以上の揺れを観測するだけでなく，津波によっても珠洲市の沿岸域で広範囲の浸水被害が発生した．
　これまでに今次地震の震源断層モデルとして，GNSSやInSARの解析に基づくUSGSモデルや電子基準点で得られた地殻変動に基づく国土地理院モデルが公開されている．これらのモデルは震源断層の長さが約150㎞と長く，一部が陸域の波源となり，既往の調査結果に基づく海域活断層のトレースとは一致しない．一方，地震調査研究推進本部は令和６年１月15日に今次地震に対する続報を示し，能登半島北岸域に北東―南西方向に延びる複数の南東傾斜の逆断層が関連した可能性が高いとした．以上のことから，今次地震の震源断層モデルについては未だ確定的なモデルとは言い難く，大規模地震の震源断層及び津波波源に関する更なる検討が必要である．そこで，本研究では国土地理院の波源等を用いて非線形長波理論に基づく津波の平面二次元解析を実施し，沿岸域の予測津波高を検討する．その津波予測計算結果について，行政機関等が沿岸域に配置する観測所の潮位観測記録のほか，北陸電力㈱の志賀原子力発電所前面海域において取得された波高計データを用いて到達時刻や津波高さを比較する．この検討結果を踏まえ，海域活断層波源による津波の特性や今回の津波波源の推定や観測記録の再現に係る確認結果を示す．