[U-15] 2024年能登半島地震(1:J)

[U15-P85] 堆積物からみる富山深海長谷沿いの令和６年能登半島地震と過去の大規模地震の記録の可能性

*福地 里菜¹、山口 飛鳥²、大塚 進平³、張 勁³、臼井 洋一⁴、松岡 篤⁵、吉岡 純平⁶、佐川 拓也⁴、村山 雅史⁷、田村 千織²、小野 誠太郎²、沖野 郷子²、朴 進午²、第KH-24-E1次航海 乗船者一同 (1.国立大学法人　鳴門教育大学、2.東京大学大気海洋研究所、3.富山大学、4.金沢大学、5.新潟大学、6.産業技術総合研究所、7.高知大学)

キーワード：令和6年能登半島地震、学術研究船「白鳳丸」 緊急調査航海（第三次）、ピストンコア試料、マルチプルコア試料

令和6年1月1日の能登半島地震は能登半島北部から佐渡島西方沖にかけての海底活断層が活動し，日本海側の広い範囲に津波や能登半島北部で最大4mに及ぶ隆起が生じた。また、富山湾内では斜面崩壊が生じ、海底地すべりにより富山湾内の津波が早期到達した可能性がある。本研究では、珠洲岬沖の沿岸域から陸棚斜面にかけての津波の引き波により陸からもたらされた堆積物が海底面表層に分布したり，能登半島東方および富山湾の堆積物は最終的に富山海底長谷を経由して日本海盆に運搬されることなどが予想される。
そこで、令和６年能登半島地震における浅海から深海にかけての津波やタービダイトの富山海底長谷経由した流れ下りに伴う堆積物の輸送量とその過程を定量的に評価することを目的に、学術研究船「白鳳丸」 緊急調査航海（第三次）が2024年3月4日から16日にかけて実施され，ピストンコアやマルチプルコアによる採泥が行われた。
その結果，地点ごとに層の厚さに違いはあったが，いくつかのマルチプルコア試料の最上部においてオリーブ黒色のシルト質粘土層が，暗オリーブ灰色の極細粒から細粒砂の層の上に堆積していることが観察された。今回の地震では，地震性タービダイトは砂の移動の後，強い振動により堆積物が巻き上げられた懸濁物が砂層の上に再沈殿したと考えられる。
特に，TCW-2地点（PC07；全長441 cm）では，X線CTスキャンおよび肉眼観察によって完新世と予想される生物擾乱が強い堆積物の中に，複数の砂層が見られた。295cm以深では，日本海第四紀堆積物の明暗互層が観察された。完新世の堆積物の中で見られる砂層は，今回の地震ような過去の能登半島地震の堆積物である可能性があり，今後これらの層序に年代をいれることで能登半島地震の繰り返し周期を推定することができると期待できる。