16:00 〜 16:15
[U16-03] 津波波形とGNSSデータのジョイントインバージョンによる令和6年能登半島地震のすべり分布
★招待講演
キーワード:能登半島地震、活断層、津波、GNSS、ジョイントインバージョン、すべり分布
2024年1月1日に発生した能登半島地震(MJMA 7.6)は,強震動,大規模な地殻変動,津波を発生させ,大きな被害をもたらした.能登半島周辺では,過去のプロジェクトで沖合の海底活断層と一部内陸の活断層が確認されている:「日本海における大規模地震に関する調査検討会(以下,MLIT)」(国土交通省・内閣府・文部科学省)及び「日本海地震・津波調査プロジェクト(以下,JSPJ)」(文部科学省).日本海沿岸の6箇所の波浪計と12箇所の検潮所で記録された津波波形と能登半島及びその周辺の53の観測点で記録されたGNSSデータをインバージョン解析し,それぞれの活断層モデルにおけるすべり量と地震モーメントを推定した.その結果,能登半島北岸に位置し,南東に傾斜しているJSPJモデルのNT4,NT5,NT6小断層では,2024年の地震時のすべり量は,それぞれ3.5 m,3.2 m,3.2 mであった.2024年の震源域の南西端に位置するNT8では1.0 mと小さいが,これは2007年の能登半島沖地震で断層が破壊されたためと考えられる.これら4つの断層の総延長は約100 kmで,地震モーメントは1.9 × 1020 Nm(Mw=7.5)である.NT4–NT5–NT6とは逆に北西に傾斜する北東側の小断層NT2とNT3の領域ではMJMA6.1を含む余震が発生しているが,本震時のすべり量は0.4 m程度と小さかった.これらの断層はより大きな地震(Mw 7.1程度)とそれに伴う津波を発生させる可能性がある.MLITモデルでも同様の傾向がみられ,2024年のすべりは能登半島北部沿岸のF43のみで,北東部のF42は破壊されず,将来の地震発生の可能性を残している.