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[U16-P03] 2024年能登半島地震により形成された海底地震断層の水中ドローンによる観察
キーワード:2024年能登半島地震、海底地震断層、水中ドローン
海域活断層における地震時の断層運動は、海岸の隆起・沈降や津波の発生をもたらす。2024年能登半島地震では、能登半島北部で最大4mに及ぶ海岸の隆起が生じた。海上保安庁による測深データからは海域活断層に沿った地形変動が示唆されていることから、著者らは、学術研究船「白鳳丸」を用いたKH-24-E1緊急航海において、水中ドローン(小型ROV)による断層調査を行った。その結果、能登半島北部沿岸の2か所(珠洲岬北西沖、輪島北西沖)において、2024年能登半島地震に伴って形成された可能性のある海底の段差を確認した。
珠洲岬北西沖で見つかった段差は、海底に露出する岩盤(砂泥質の堆積岩)中に発見され、北東-南西方向に20 m以上にわたって直線的に伸びている。発見された場所は、産業技術総合研究所による反射法探査(井上・岡村, 2010)から推定された海底活断層(珠洲沖セグメント)よりも南東側に位置する。段差の比高は1 m未満とみられ、北西側が高く、多くの部分で段差の上部が下部よりも張り出しており、段差沿いには段差からの崩落物も認められる。段差の壁面および崩落物の破断面は風化を受けておらず、藻や底生生物がまったく付着していないことから、この段差は最近数か月以内に形成されたものであり、2024年能登半島地震に関連する逆断層すべりによって形成された海底地震断層(副次的なバックスラスト)である可能性が高いと考えられる。
輪島北西沖で見つかった段差は、東北東-西南西方向に伸びていることが海底地形調査から確認されており、海底活断層(猿山沖セグメント, 井上・岡村, 2010)の海底トレース上に位置する。段差の比高は1 m未満で、北側が深く南側が浅くなっている。段差の表面には礫や貝殻片などが露出しており、周囲の海底の表面に広く見られる褐色の被膜が乱されていることから、ごく最近に擾乱を受けたと推定される。これらの産状と段差の位置とを考慮すると、この段差は断層変位に伴う撓曲崖であり、2024年能登半島地震に関連する断層の変位で表面が崩壊した可能性がある。
今回水中ドローンによる調査を行った3か所のうち2か所で、2024年能登半島地震によるものである可能性のある海底面の段差が見つかったことは、能登半島北部沿岸の広い範囲において、地震時の断層すべりが海底面に達したことを示唆する。
珠洲岬北西沖で見つかった段差は、海底に露出する岩盤(砂泥質の堆積岩)中に発見され、北東-南西方向に20 m以上にわたって直線的に伸びている。発見された場所は、産業技術総合研究所による反射法探査(井上・岡村, 2010)から推定された海底活断層(珠洲沖セグメント)よりも南東側に位置する。段差の比高は1 m未満とみられ、北西側が高く、多くの部分で段差の上部が下部よりも張り出しており、段差沿いには段差からの崩落物も認められる。段差の壁面および崩落物の破断面は風化を受けておらず、藻や底生生物がまったく付着していないことから、この段差は最近数か月以内に形成されたものであり、2024年能登半島地震に関連する逆断層すべりによって形成された海底地震断層(副次的なバックスラスト)である可能性が高いと考えられる。
輪島北西沖で見つかった段差は、東北東-西南西方向に伸びていることが海底地形調査から確認されており、海底活断層(猿山沖セグメント, 井上・岡村, 2010)の海底トレース上に位置する。段差の比高は1 m未満で、北側が深く南側が浅くなっている。段差の表面には礫や貝殻片などが露出しており、周囲の海底の表面に広く見られる褐色の被膜が乱されていることから、ごく最近に擾乱を受けたと推定される。これらの産状と段差の位置とを考慮すると、この段差は断層変位に伴う撓曲崖であり、2024年能登半島地震に関連する断層の変位で表面が崩壊した可能性がある。
今回水中ドローンによる調査を行った3か所のうち2か所で、2024年能登半島地震によるものである可能性のある海底面の段差が見つかったことは、能登半島北部沿岸の広い範囲において、地震時の断層すべりが海底面に達したことを示唆する。