17:15 〜 19:15
[AAS02-P01] 台風に伴う北向き非地衡風のPREへのインパクト --非地衡風2次循環の影響--
★招待講演
キーワード:台風遠隔降水、非地衡風、2次循環
台風が日本の南海上にある時、本土で大雨が降ることがあり、「台風が前線を刺激する」という表現が用いられる。同様な台風による遠隔降水の強化は海外でも知られており、Predecessor Rain Event (PRE) と呼ばれる。
2009 年台風第18 号の接近時には西日本で等高線を横切る顕著な北向きの非地衡風が観測された。Saito (2019) [1]は水平格子間隔10kmのJMA-NHM による数値実験を行い、この北向きの非地衡風が数値モデルで再現可能(図1右)であり、水平風加速度ベクトルによる力学でその成因が説明できることを示した。
Saito and Matsunobu (2020)[2]は、台風からの北向きの風による水蒸気フラックスについて着目し、非地衡風は上層でより顕著であるものの非地衡風の寄与分に相当する水蒸気量を削った場合には、西日本の降水が大きく減少することを数値実験で示した。Saito et al. (2022) [3]は、水平格子間隔2kmの雲解像モデルによる追試を行い、非地衡風による上層加湿の有無が上層での凝結量や湿潤不安定層 (MAUL)の厚み、日本域での対流の強弱に影響を与え、降水の増減につながることを示した。
SOLAに掲載された前述の研究は、台風に伴う北向き非地衡風が日本付近の雨を増やすことについての重要な知見をもたらしたが、数値実験は非地衡風の影響を水蒸気輸送に伴う上層加湿という点についてのみ調べたものであった。
ジェットの入り口に非地衡風による北向き風が生じる場合、二次循環による大規模上昇流が生じることが知られており、その影響が降水を強化することが考えられる。非地衡風2次循環に伴う上昇流がどの程度日本付近の降水に影響するかを調べるため、現在格子間隔5kmのモデルを10kmモデルにネスティングし、ドライモデルの上昇流のみを境界条件から差し引いて5kmモデルを動かして降水がどの程度変わるかを調べる実験を試みている。講演当日はその結果を示す予定である。
参考文献
[1] Saito, K., 2019: On the northward ageostrophic winds associated with a tropical cyclone. SOLA, 15, 222-227.
[2] Saito, K. and T. Matsunobu, 2020: Northward ageostrophic winds associated with a tropical cyclone. Part 2: Moisture transport and its impact on PRE. SOLA, 16, 198-205.
[3] Saito, K., T. Matsunobu, and T. Oizumi, 2022: Effect of upper-air moistening by northward ageostrophic winds associated with a tropical cyclone on the PRE enhancement. SOLA, 18, 81-87.
2009 年台風第18 号の接近時には西日本で等高線を横切る顕著な北向きの非地衡風が観測された。Saito (2019) [1]は水平格子間隔10kmのJMA-NHM による数値実験を行い、この北向きの非地衡風が数値モデルで再現可能(図1右)であり、水平風加速度ベクトルによる力学でその成因が説明できることを示した。
Saito and Matsunobu (2020)[2]は、台風からの北向きの風による水蒸気フラックスについて着目し、非地衡風は上層でより顕著であるものの非地衡風の寄与分に相当する水蒸気量を削った場合には、西日本の降水が大きく減少することを数値実験で示した。Saito et al. (2022) [3]は、水平格子間隔2kmの雲解像モデルによる追試を行い、非地衡風による上層加湿の有無が上層での凝結量や湿潤不安定層 (MAUL)の厚み、日本域での対流の強弱に影響を与え、降水の増減につながることを示した。
SOLAに掲載された前述の研究は、台風に伴う北向き非地衡風が日本付近の雨を増やすことについての重要な知見をもたらしたが、数値実験は非地衡風の影響を水蒸気輸送に伴う上層加湿という点についてのみ調べたものであった。
ジェットの入り口に非地衡風による北向き風が生じる場合、二次循環による大規模上昇流が生じることが知られており、その影響が降水を強化することが考えられる。非地衡風2次循環に伴う上昇流がどの程度日本付近の降水に影響するかを調べるため、現在格子間隔5kmのモデルを10kmモデルにネスティングし、ドライモデルの上昇流のみを境界条件から差し引いて5kmモデルを動かして降水がどの程度変わるかを調べる実験を試みている。講演当日はその結果を示す予定である。
参考文献
[1] Saito, K., 2019: On the northward ageostrophic winds associated with a tropical cyclone. SOLA, 15, 222-227.
[2] Saito, K. and T. Matsunobu, 2020: Northward ageostrophic winds associated with a tropical cyclone. Part 2: Moisture transport and its impact on PRE. SOLA, 16, 198-205.
[3] Saito, K., T. Matsunobu, and T. Oizumi, 2022: Effect of upper-air moistening by northward ageostrophic winds associated with a tropical cyclone on the PRE enhancement. SOLA, 18, 81-87.