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[AAS03-P18] 降水システムの変化に対する湿潤絶対不安定層(MAUL)領域の寄与
キーワード:湿潤絶対不安定層、大雨、バックビルディング型降水システム、補償下降流
梅雨前線や台風に伴う大雨の発生には、対流圏の下層のみならず中層からも豊富な水蒸気の流入が要因であると考えられている。最近、大雨域の近傍に湿潤絶対不安定層(Moist Absorultely Unstable Layer: MAUL)が形成されることが注目されている。私たちは、2020年7月4日に九州(球磨川流域)で発生した大雨事例を対象として、大雨領域の風上側に厚いMAUL領域が形成されていたこと、大雨領域とMAUL領域が直接接続している部分があったことを示し、対流圏と下層と中層から水蒸気と雲水が大雨領域の対流雲にエントレインメントによって供給されていることを示した。一方で、対流雲に伴う補償下降流によってMAUL領域と大雨領域が分断されている部分があることも示した。このことから、MAUL領域と大雨領域の関連を調べるためには、対流セルスケールでの詳細な空間分解能とその時間変化の解析が必要であることが見込まれる。本研究では、同事例を対象として、MAUL領域の時間変化を追跡することで、MAUL域の降水システムの構造に対する寄与を明らかにすることを目的とする。
解析には、国立研究開発法人防災科学技術研究所(NIED)が開発したCReSS-3DVAR再解析データを用いた。この再解析データは、九州を中心とした領域を約1.5 kmの水平解像度で計算している。初期値と境界値として気象庁LFMデータを使用し、AMeDAS観測所の地上風とXRAINで取得されたドップラー速度場を10分ごとにIAU法で同化している。今回の解析では2020年7月4日00時(JST)を初期値として同日06時までの結果を用いる。
大雨領域は東西方向に伸びる準停滞性の線状対流系により形成されていた。この線状対流系はバックビルディング型であったと考えられる。MAUL領域は線状対流系の風上(南西)側の広範囲に形成されていた。線状対流系はその西側の端でMAUL領域と直接接続されていた。線状対流系の西端でMAUL領域から豊富な水蒸気の供給を受けて対流セルが発達し、中層の西風に流されて東へ移動する。その後、対流セルが成熟期に移行して南側に補償下降流域が形成される。補償下降流によりMAUL領域からの対流圏中層での水蒸気や雲水の流入が妨げられるために、線状対流系側面(南端)での対流セルの発達が発生しないと考えられる。側面での対流性の発生・発達が抑制されることで線状の対流系が維持されると考えられる。そして、このような現象は、線状対流系の走向と下層の風向のなす角が小さかったために生じていたと考えられる。
解析には、国立研究開発法人防災科学技術研究所(NIED)が開発したCReSS-3DVAR再解析データを用いた。この再解析データは、九州を中心とした領域を約1.5 kmの水平解像度で計算している。初期値と境界値として気象庁LFMデータを使用し、AMeDAS観測所の地上風とXRAINで取得されたドップラー速度場を10分ごとにIAU法で同化している。今回の解析では2020年7月4日00時(JST)を初期値として同日06時までの結果を用いる。
大雨領域は東西方向に伸びる準停滞性の線状対流系により形成されていた。この線状対流系はバックビルディング型であったと考えられる。MAUL領域は線状対流系の風上(南西)側の広範囲に形成されていた。線状対流系はその西側の端でMAUL領域と直接接続されていた。線状対流系の西端でMAUL領域から豊富な水蒸気の供給を受けて対流セルが発達し、中層の西風に流されて東へ移動する。その後、対流セルが成熟期に移行して南側に補償下降流域が形成される。補償下降流によりMAUL領域からの対流圏中層での水蒸気や雲水の流入が妨げられるために、線状対流系側面(南端)での対流セルの発達が発生しないと考えられる。側面での対流性の発生・発達が抑制されることで線状の対流系が維持されると考えられる。そして、このような現象は、線状対流系の走向と下層の風向のなす角が小さかったために生じていたと考えられる。