15:00 〜 15:15
[AAS05-06] 非平衡乱流場における雲粒子の局所クラスタリング機構の解明

キーワード:慣性粒子クラスタリング、非平衡乱流、雲微物理、スーパーコンピュータ、混相流
雲乱流による雲粒子の衝突成長促進効果によって, 降雨開始が早められる可能性が指摘されている. その衝突促進効果の中では, 雲粒子のような微小慣性粒子の偏分布(クラスタリング)が大きな役割を果たすため, その機構の解明が求められている.
現実の雲乱流はエネルギー注入量と散逸量のバランスが取れない非平衡状態にある. しかし, 従来の研究では, 平衡状態を仮定した数値計算研究が行われてきた. そこで本研究では, 非平衡状態, つまり強制力によるエネルギー注入量とエネルギー散逸量が釣り合わない状態にある等方性乱流場における微小慣性粒子のクラスタリング機構を, 大規模数値計算を用いて解明することを目的とする.
計算には Lagrangian Cloud Simulator (LCS) (Onishi et al., 2015) を用いた. LCS は流体場をオイラー的に計算し, 粒子をラグランジュ的に追跡することで, 粒子一つ一つの運動を詳細に計算することが可能なモデルである. 添付画像に 64^3 格子点で計算された一様等方性乱流中の 327680 個の粒子の空間分布のスナップショットを示す.
流体場は非圧縮性ナビエ・ストークス方程式をエネルギー保存型 4 次精度中心差分法 (Morinishi et al., 1998) によって離散化し, 2 段 2 次ルンゲ・クッタ法によって陽的に時間発展させる. 圧力・速度のカップリングには HSMAC 法を用いる. 大規模場に対してエネルギー注入を行う. その強制法には Reduced Communication Forcing (RCF) (Onishi et al., 2011) を使用する. RCF は流体場をダウンサンプリングすることで通信量を大幅に削減しつつ, 大規模場への選択的なエネルギー注入を可能とする.
粒子は流体場からの力によって駆動されるが, 粒子は十分に小さいため流体場へのフィードバックは考慮しない. 粒子間の流体力学的相互作用は Binary-based Superposition Method (BiSM) (Onishi et al., 2013) を用いて計算する. BiSM は, 多数粒子の影響を 2 粒子間の相互作用の重ね合わせとして扱うことで, 大気中の雲のような粒子密度が小さい場合には, 計算精度を保ちつつ高速計算が可能な手法である.
従来の LCS は FORTRAN90 言語で書かれ, CPU 計算のみに対応していた. 本研究では, まず, 大規模な GPU 計算にも対応させるため, Julia 言語に書き換えた. これにより, マルチ GPU を用いた大規模で効率的な計算が可能になった. 具体的には, 最大規模の計算として 64 GPU を用いて, 2048^3 格子, 10^9 個の微小慣性粒子の運動を計算した. 非平衡乱流場での粒子クラスタリング現象を解明するため, 大規模場へのエネルギー注入をステップ関数的に変化させることで, 非平衡状態を実現した. 得られた非平衡乱流場に様々な慣性を持つ粒子を混入し, 近接動径分布関数(radial distribution function at contact, g(r=R); R は衝突半径)を算出した.
計算の結果, 外力の注入をステップ関数的に変化させたときの近接動径分布関数とエネルギー散逸率の応答にはずれがあることがわかった. さらに, 非平衡乱流場における近接動径分布関数は, 時間平均操作により得られる平均エネルギー散逸率と平均レイノルズ数における近接動径分布関数とは異なることが明らかになった. このことは, 乱流の非平衡性を考慮した衝突頻度モデルの開発が必要であることを示唆する.
現実の雲乱流はエネルギー注入量と散逸量のバランスが取れない非平衡状態にある. しかし, 従来の研究では, 平衡状態を仮定した数値計算研究が行われてきた. そこで本研究では, 非平衡状態, つまり強制力によるエネルギー注入量とエネルギー散逸量が釣り合わない状態にある等方性乱流場における微小慣性粒子のクラスタリング機構を, 大規模数値計算を用いて解明することを目的とする.
計算には Lagrangian Cloud Simulator (LCS) (Onishi et al., 2015) を用いた. LCS は流体場をオイラー的に計算し, 粒子をラグランジュ的に追跡することで, 粒子一つ一つの運動を詳細に計算することが可能なモデルである. 添付画像に 64^3 格子点で計算された一様等方性乱流中の 327680 個の粒子の空間分布のスナップショットを示す.
流体場は非圧縮性ナビエ・ストークス方程式をエネルギー保存型 4 次精度中心差分法 (Morinishi et al., 1998) によって離散化し, 2 段 2 次ルンゲ・クッタ法によって陽的に時間発展させる. 圧力・速度のカップリングには HSMAC 法を用いる. 大規模場に対してエネルギー注入を行う. その強制法には Reduced Communication Forcing (RCF) (Onishi et al., 2011) を使用する. RCF は流体場をダウンサンプリングすることで通信量を大幅に削減しつつ, 大規模場への選択的なエネルギー注入を可能とする.
粒子は流体場からの力によって駆動されるが, 粒子は十分に小さいため流体場へのフィードバックは考慮しない. 粒子間の流体力学的相互作用は Binary-based Superposition Method (BiSM) (Onishi et al., 2013) を用いて計算する. BiSM は, 多数粒子の影響を 2 粒子間の相互作用の重ね合わせとして扱うことで, 大気中の雲のような粒子密度が小さい場合には, 計算精度を保ちつつ高速計算が可能な手法である.
従来の LCS は FORTRAN90 言語で書かれ, CPU 計算のみに対応していた. 本研究では, まず, 大規模な GPU 計算にも対応させるため, Julia 言語に書き換えた. これにより, マルチ GPU を用いた大規模で効率的な計算が可能になった. 具体的には, 最大規模の計算として 64 GPU を用いて, 2048^3 格子, 10^9 個の微小慣性粒子の運動を計算した. 非平衡乱流場での粒子クラスタリング現象を解明するため, 大規模場へのエネルギー注入をステップ関数的に変化させることで, 非平衡状態を実現した. 得られた非平衡乱流場に様々な慣性を持つ粒子を混入し, 近接動径分布関数(radial distribution function at contact, g(r=R); R は衝突半径)を算出した.
計算の結果, 外力の注入をステップ関数的に変化させたときの近接動径分布関数とエネルギー散逸率の応答にはずれがあることがわかった. さらに, 非平衡乱流場における近接動径分布関数は, 時間平均操作により得られる平均エネルギー散逸率と平均レイノルズ数における近接動径分布関数とは異なることが明らかになった. このことは, 乱流の非平衡性を考慮した衝突頻度モデルの開発が必要であることを示唆する.