09:15 〜 09:30
[AAS08-02] 雲粒衝突併合過程の計算における量子計算の活用
★招待講演
キーワード:量子計算、雲粒衝突併合過程、マスター方程式、確率過程
量子コンピュータは量子力学に基づいており、古典コンピュータでは実行不可能な膨大な計算を可能にすると期待されている。量子の性質である、重ね合わせ、干渉、もつれを効率的に活用することが重要な点である。しかし、量子コンピュータを効果的に利用するためには、線形性の問題やリードアウトの問題に対処する必要がある。線形性の問題を解決するための有望なアプローチの一つとして、分布関数の時間発展を解く方法が考えられる。これは、対象とするプロセス自体には非線形性が含まれていたとしても、その分布の時間発展は線形に記述されるからである。また、計算から得たいのは分布そのものではなく、期待値や分散などの特徴量であり、有用な情報を得るために読み出すべき変数の数は非常に少なくて済むことが多い。これにより、リードアウトの問題にも効率的に対処することが可能である。
本研究では、雲粒の衝突併合過程の発展を記述するマスター方程式を解くための量子アルゴリズムを提案する。多くの種類の雲粒を考慮すると、可能な状態の数が膨大になり、マスター方程式を直接解くことは困難である。Alfonso et al. (2015) は、実際に実現される状態の数が限られていることを利用することで計算を可能にしたが、それでも最大40種類の雲粒までしか扱えていない。本研究では、量子アルゴリズムを開発し、Qiskit Aer シミュレーター上で実装するとともに、その計算量を見積もった。その結果、古典コンピュータによる直接計算と同等の結果を得ることができた。また、雲粒種類数の増加とともに古典計算では指数的に計算量が増えるのに対し、量子計算では2乗程度しか増えないことが明らかになった。本研究の結果は、大気科学における分布関数の計算に量子コンピュータを活用する可能性を示す、有望な事例である。
本研究では、雲粒の衝突併合過程の発展を記述するマスター方程式を解くための量子アルゴリズムを提案する。多くの種類の雲粒を考慮すると、可能な状態の数が膨大になり、マスター方程式を直接解くことは困難である。Alfonso et al. (2015) は、実際に実現される状態の数が限られていることを利用することで計算を可能にしたが、それでも最大40種類の雲粒までしか扱えていない。本研究では、量子アルゴリズムを開発し、Qiskit Aer シミュレーター上で実装するとともに、その計算量を見積もった。その結果、古典コンピュータによる直接計算と同等の結果を得ることができた。また、雲粒種類数の増加とともに古典計算では指数的に計算量が増えるのに対し、量子計算では2乗程度しか増えないことが明らかになった。本研究の結果は、大気科学における分布関数の計算に量子コンピュータを活用する可能性を示す、有望な事例である。