日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS10] 気象学一般

2025年5月26日(月) 10:45 〜 12:15 展示場特設会場 (4) (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:清水 慎吾(国立研究開発法人防災科学技術研究所)、久保田 尚之(北海道大学)、杉本 志織(海洋研究開発機構)、那須野 智江(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)、座長:久保田 尚之(北海道大学)、清水 慎吾(国立研究開発法人防災科学技術研究所)、杉本 志織(海洋研究開発機構)、那須野 智江(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)

11:15 〜 11:30

[AAS10-09] 梅雨前線南側の水蒸気傾度のMAX-DOAS観測とデータ同化への応用

*溝渕 隼也1入江 仁士1清水 慎吾2 (1.千葉大学環境リモートセンシング研究センター、2.国立研究開発法人防災科学技術研究所)


キーワード:水蒸気、地上リモートセンシング、データ同化

近年、梅雨期を中心に豪雨災害が顕在化しつつある。梅雨前線の南側では、水蒸気前線と呼ばれる顕著な水蒸気濃度の水平方向の傾度 (水蒸気傾度) が報告されている。しかしながら、先行研究から水蒸気前線は地表面ではなく上空 (0.5–1.5 km) に現れると考えられるため、水蒸気傾度の観測は限られている。本研究では2015年から2024年の10年間、千葉において東西南北の4方位に多軸差分吸収分光法 (Multi-Axis Differential Optical Absorption Spectroscopy; MAX-DOAS) の観測視線を向けたシステム (4-different-azimuth-viewing Multi-Axis Differential Optical Absorption Spectroscopy; 4AZ-MAXDOAS) により大気下層水蒸気濃度の観測を実施した。高度0–1 kmの平均濃度データを解析したところ、梅雨期において10年間の最大の水蒸気傾度が2020年7月27日に発生し、先行研究で同じ季節・高度のモデル解析で示された約2 g/kg/10 kmを超えていることが分かった。また、地上の湿度計による観測ではこのような水蒸気傾度は見られなかった。これらの結果は、梅雨前線の南側の水蒸気濃度の空間構造が一様ではないことを示し、水蒸気前線が地表ではなく上空 (0.5–1.5 km) に現れる先行研究を支持する。なお、本発表では、4AZ-MAXDOASによる観測を雲解像モデルCReSS (Cloud Resolving Storm Simulator) と3次元変分法データ同化システム (CReSS-3DVAR) を用いて同化した結果を示し、梅雨前線の南側の水蒸気濃度の空間構造についても詳細に議論する予定である。