12:00 〜 12:15
[AAS10-12] フェーズドアレイ気象レーダが捉えた降水セルのファーストレーダエコーからの時間発展

キーワード:Xバンドフェーズドアレイ気象レーダ、降水セル、時間発展、セル追跡、ファーストレーダエコー
夏季に発生する積乱雲は急速に発達し局所的に激しい降水をもたらすため,都市部では冠水や浸水等の水災害が発生しやすい.リードタイム確保や局所的な大雨予測精度向上のため,積乱雲発生初期における上空の降水粒子の早期探知が重要である.従来のパラボラ式気象レーダによる5分間隔の三次元観測では,短時間で急激に発達する積乱雲を時間的・空間的に連続して捉えることが難しい.フェーズドアレイ気象レーダ(PAWR;Phased Array Weather Radar)は,時間分解能が大幅に向上し,30秒で積乱雲の三次元構造を連続して捉えることが可能である.
本研究は,上空の降水粒子を気象レーダが最初に捉えた際のファーストレーダエコー(First radar echo)からの降水セルの時間発展に着目し,XバンドPAWRの観測データを用いて時系列解析を行った.
日本無線株式会社のXバンドPAWR(千葉市緑区(35°52’N,140°23’E)に設置)の反射強度(Zh [dBZ])に関する観測データを使用した.半径80 km,高度15 kmの三次元空間を観測可能であり,時間分解能は30秒,距離分解能は250 mである.レーダエコーの広がりや地形や建物からのクラッターの影響を防ぐため,半径60 km以内かつ高度1 km以上のデータを利用した.XRAIN合成雨量データを地上降水強度の判定に使用した.
本研究では,降水セルを「反射強度が20 dBZ以上の連続した領域で体積が5 km3以上のボクセル」と定義し自動抽出を試みた.抽出した各セルについてラベリングを行い,三次元重心を求めた.時刻毎に上記処理を行い,30秒後の抽出結果と比較することでセル重心の移動距離を計算し,移動距離が2.5 km以内のセルを同一セルと定義した.さらに,各セルの持続時間を算出し,20分以上90分以内のセルに絞った.追跡過程で初めてセルを抽出した時刻のレーダエコーをファーストレーダエコーと定義した.時系列解析の際には,①セル重心における鉛直方向の反射強度,②地上降雨強度(XRAIN合成雨量),③セル重心高度,④エコー頂高度,⑤高度別積算反射強度の最大値,⑥ボクセル数,⑦アスペクト比(鉛直/水平)に着目した.上記の手法を用いて,2022年8月3日に観測した降水セルについて事例解析を行った.
16時40分に高度3 km付近でファーストレーダエコーを検出し,持続時間は53分であった.ファーストレーダエコーの検出から8分後には上空で反射強度40 dBZ以上の領域が見られ,19分後には地上で80 mm/hの強い雨が降っていた.この間,セル重心高度は高度3 kmから6 kmへ緩やかに上昇している一方で,ボクセル数は急激に増加していた.アスペクト比に着目すると,ファーストレーダエコーの5分後から10分後にかけて値が1を超えており,降水セルが鉛直方向に急激に発達していたと考えられる.
発表時には,より多くの事例を対象としたファーストレーダエコーからの時間発展と降水との関係について紹介する予定である.
本研究は,上空の降水粒子を気象レーダが最初に捉えた際のファーストレーダエコー(First radar echo)からの降水セルの時間発展に着目し,XバンドPAWRの観測データを用いて時系列解析を行った.
日本無線株式会社のXバンドPAWR(千葉市緑区(35°52’N,140°23’E)に設置)の反射強度(Zh [dBZ])に関する観測データを使用した.半径80 km,高度15 kmの三次元空間を観測可能であり,時間分解能は30秒,距離分解能は250 mである.レーダエコーの広がりや地形や建物からのクラッターの影響を防ぐため,半径60 km以内かつ高度1 km以上のデータを利用した.XRAIN合成雨量データを地上降水強度の判定に使用した.
本研究では,降水セルを「反射強度が20 dBZ以上の連続した領域で体積が5 km3以上のボクセル」と定義し自動抽出を試みた.抽出した各セルについてラベリングを行い,三次元重心を求めた.時刻毎に上記処理を行い,30秒後の抽出結果と比較することでセル重心の移動距離を計算し,移動距離が2.5 km以内のセルを同一セルと定義した.さらに,各セルの持続時間を算出し,20分以上90分以内のセルに絞った.追跡過程で初めてセルを抽出した時刻のレーダエコーをファーストレーダエコーと定義した.時系列解析の際には,①セル重心における鉛直方向の反射強度,②地上降雨強度(XRAIN合成雨量),③セル重心高度,④エコー頂高度,⑤高度別積算反射強度の最大値,⑥ボクセル数,⑦アスペクト比(鉛直/水平)に着目した.上記の手法を用いて,2022年8月3日に観測した降水セルについて事例解析を行った.
16時40分に高度3 km付近でファーストレーダエコーを検出し,持続時間は53分であった.ファーストレーダエコーの検出から8分後には上空で反射強度40 dBZ以上の領域が見られ,19分後には地上で80 mm/hの強い雨が降っていた.この間,セル重心高度は高度3 kmから6 kmへ緩やかに上昇している一方で,ボクセル数は急激に増加していた.アスペクト比に着目すると,ファーストレーダエコーの5分後から10分後にかけて値が1を超えており,降水セルが鉛直方向に急激に発達していたと考えられる.
発表時には,より多くの事例を対象としたファーストレーダエコーからの時間発展と降水との関係について紹介する予定である.