日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS10] 気象学一般

2025年5月26日(月) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:清水 慎吾(国立研究開発法人防災科学技術研究所)、久保田 尚之(北海道大学)、杉本 志織(海洋研究開発機構)、那須野 智江(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)

17:15 〜 19:15

[AAS10-P02] 気温・水蒸気ライダーとドップラーライダーの同時観測におけるデータ同化実験
-2024年6月24日に九州地方に大雨をもたらした降水システムの事例解析-

*清水 慎吾1矢吹 正教2、 松木 一人3、手柴 充博3、長谷川 壽一3 (1.国立研究開発法人防災科学技術研究所、2.京都大学生存圏研究所、3.英弘精機株式会社)

キーワード:データ同化実験と雨量予測、気温、水蒸気、風の同時ライダー観測

内閣府BRIDGE課題「革新的な統合気象データを用いた洪水予測の高精度化」(代表者:九州大学 杉原裕司教授)において、線状降水帯などの大雨事例の予測精度を向上させ、河川流量予測の高度化を目指している。2024年暖候期に、英弘精機と京都大学が鹿児島県の甑島に気温・水蒸気ライダーおよびドップラーライダーを設置し、気温、水蒸気混合比、風向・風速の連続観測を開始した。防災科学技術研究所は、こうした観測データの同化インパクトの調査を担当している。2024年6月24日の午前8時頃に鹿児島県甑島付近の海上に3時間雨量が100mmを超える線状の降水域が観測された。この線状の降水域の予測におけるライダー観測の同化インパクト実験を、水平解像度1 kmで九州全域を含む480 km×464 kmの領域(鉛直50 層、モデルトップは20.6 km)を対象に雲解像数値モデルCReSSを用いて実施した。初期値は、気象庁局地モデルの午前6時の出力を用いて、1時間毎の予測データを境界条件として与えた。降水が開始する前の6時20分の気温、水蒸気、風向・風速の鉛直プロファイルを3DVARで同化し、午前6時から9時までの3時間積算雨量を出力し、観測結果と比較した(図1)。図1左は、国交省XRAINから求めた観測された3時間積算雨量の分布を示し、図1中は、水蒸気・気温を同化した場合の予測結果、図1右は、同化を行わなかった場合の結果を示す。水蒸気と気温を同時に同化することで、同化しない場合に比べて降水域の予測精度が高まった。本プロジェクトにおいては、河川流量予測の精度向上が最終的な目的であるために、流域雨量として評価することが重要である。そこで、甑島を中心とした、100 km平方の領域平均雨量を比較すると、観測では、25.12 mm、同化有実験では、25.06 mm、同化無実験では、8.43 mmとなり、同化を行うことで領域平均雨量の精度も向上したことが確認できた。今後は、事例を増やし、同化インパクトを引き続き調査しながらも、実際の河川流域のポリゴン情報を作成し、流域雨量の予測精度を検証する予定である。