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[AAS10-P03] メソアンサンブルの摂動を利用したflow-dependentな背景誤差共分散の利用法の検討
キーワード:メソアンサンブル予測の出力を活用したアンサンブル予測
線状降水帯等の豪雨予測の精度向上は喫緊の課題である。精度向上にむけた様々な新しい観測技術やデータ同化手法の開発が進められている。防災科学技術研究所では、10分毎の高頻度での短時間雨量予測をリアルタイムで実現するために、これまでは比較的計算コストの小さい三次元変分法に基づく初期値作成を実施してきた。三次元変分法では、数か月間の統計処理による気候学的な背景誤差共分散を利用する。一方、近年では、アンサンブルベースの同化法による、flow-dependentな背景誤差共分散を利用することで、非等方性で、変数間相関も考慮可能なデータ同化が実現されている。アンサンブルベースの同化法の利点は大きいが、アンサンブル予測の計算コストは依然として大きい。Yokota et al., 2024 (JSMJ)は積極的に現業のメソアンサンブル予測 (MEPS)を利用することで、アンサンブル予測の計算コストを抑えながら、flow-dependentな三次元変分法を開発し、線状降水帯等の豪雨予測の精度向上にMEPSの有効活用が非常に重要であると提案した。しかし、気象庁以外の外部機関は、気象業務支援センターが提供するMEPSを利用することになるが、データサイズ削減のため、基本変数(風、気圧、気温、湿度)の間引きがなされており、そのままでは直接アンサンブル予測の初期値には利用できない。本研究では、メソモデル(MSM)の予測値と気象業務支援センターのMEPSを併用することで、21メンバーのアンサンブル予測を実現する手法を開発した。手順1) MEPSの21メンバーのアンサンブル平均とアンサンブル摂動を計算する。この時、相対湿度は水蒸気混合比に変換しておく。手順2) MSMをアンサンブル平均とし、1)で得た摂動を与えることで、21メンバーを作成する(メンバー1とMSMは概ね一致するが、完全に等しくはない)。摂動後において、水蒸気混合比が負になる場合もあるが、その場合には、混合比を0 kg/kgとする。手順3) 各メンバーで得られた気温と水蒸気混合比を使って相対湿度に変換し、飽和している場合、水蒸気混合比を飽和水蒸気混合比に変換する。手順4) 地上データも同様に手順1-2を実施する。地上データとしては水平風速と気温について実施する。手順5) MEPSは3時間毎の予測値も含まれるので、手順1-4を予測値に対しても実施し、そのデータを側面境界条件としてCReSSの予測に利用する。
2023年7月3日の熊本県で発生した線状降水帯事例において、00UTCのMEPSを利用して、3時間予測を行った。初期解析として、水平解像度3 kmで九州全域を含む312 km × 360 km ×50層(モデルトップ=20.6 km)で実験を行った。図1左が00-03UTCの国交省XRAINから得た3時間積算雨量で、図1右が3時間積算雨量のアンサンブル平均を示す。3時間雨量50mm 以上の領域は概ね正しいが、100mmを超える強い雨の位置はCReSSが北に予測している。図2は、上段が03UTCにおけるCReSSの各変数のスプレッドを示し、下段が同じ時刻のMEPSのスプレッドを示す。左から、風の東西成分、南北成分、温位(MEPSは気温)、水蒸気混合比を示す。CReSSのスプレッドはMEPSに比べて概ね局地的であり、強い降水が予測された場所周辺に限定されている。MEPSとCReSSで解像度が異なるので一致する必然性はないが、ensemble-flow-dependent-3DVAR(En-3DVAR)の今後の開発において、こうした特性の違いを把握することが本研究の目的である。今後、03UTCにおける、疑似観測データによるLETKFでの同化インクリメントと、En-3DVARによるインクリメントの違いを比較する予定である。
2023年7月3日の熊本県で発生した線状降水帯事例において、00UTCのMEPSを利用して、3時間予測を行った。初期解析として、水平解像度3 kmで九州全域を含む312 km × 360 km ×50層(モデルトップ=20.6 km)で実験を行った。図1左が00-03UTCの国交省XRAINから得た3時間積算雨量で、図1右が3時間積算雨量のアンサンブル平均を示す。3時間雨量50mm 以上の領域は概ね正しいが、100mmを超える強い雨の位置はCReSSが北に予測している。図2は、上段が03UTCにおけるCReSSの各変数のスプレッドを示し、下段が同じ時刻のMEPSのスプレッドを示す。左から、風の東西成分、南北成分、温位(MEPSは気温)、水蒸気混合比を示す。CReSSのスプレッドはMEPSに比べて概ね局地的であり、強い降水が予測された場所周辺に限定されている。MEPSとCReSSで解像度が異なるので一致する必然性はないが、ensemble-flow-dependent-3DVAR(En-3DVAR)の今後の開発において、こうした特性の違いを把握することが本研究の目的である。今後、03UTCにおける、疑似観測データによるLETKFでの同化インクリメントと、En-3DVARによるインクリメントの違いを比較する予定である。