17:15 〜 19:15
[AAS10-P10] 地上降水粒子観測による魚沼丘陵の風上・風下における降雪の特徴
★招待講演
キーワード:降雪、雲物理、地形
冬季、日本付近に強い寒気が流れ込むと、しばしば大雪となることがある。特に近年は温暖化の影響で日本海の海水温が上昇し、雪雲が発達しやすく、短時間で一気に積もるドカ雪が起きやすく、大規模な立ち往生などの交通障害やライフラインへの影響のほか、ビニールハウスの倒壊といった農業被害の増加が懸念されている。これらの被害には雪質、つまり雪の重さ(密度)、含水率などが関連しており、雪質に関する情報は被害対策にとって必要不可欠である。
本研究では、地形による雪質の違いとその成長プロセスに注目して、2023年と2024年の冬季に森林総合研究所十日町試験地(新潟県十日町市:緯度37.08度、経度138.46度、標高200m)と鉄道総合技術研究所塩沢雪害防止実験所(新潟県南魚沼市塩沢:緯度37.04度、経度138.85度、標高193m)の2地点に地上設置型降水粒子撮像ゾンデ(Rainscopeと呼ぶ)を設置して地上降雪観測を実施した。2つの地点は魚沼丘陵をはさんで約12km離れている。魚沼丘陵は、西に十日町盆地(信濃川)、東に六日町盆地(魚野川)が位置する、南北約30km、東西約12km、標高約750mの丘陵である。本研究では2023年12月23日と2024年12月23日の降雪事例について、魚沼丘陵の風上(十日町)と風下(塩沢)で降水粒子の特徴を比較し、雪質の違いをもたらす降雪プロセスを考察した。
本研究で用いた地上設置型Rainscopeは、もともと気球搭載型の特殊ゾンデとして開発されたRainscope(Suzuki et al. 2023)を地上観測用に改造したものである。Rainscopeは降水粒子が内蔵の赤外線センサーを通過することで、カメラの電子シャッターが反応し、降水粒子の静止画像を記録する。その上下のセンサーが降水粒子を感知した時間差とセンサー間の距離から落下速度が求められる。画像解析から粒子の大きさに関する情報として、長径、短径、周長、面積などのほか、形状に関する情報の円形度、縦横比が得られる。また本研究では、十日町で雪を降らせた雪雲が魚沼丘陵を越え、塩沢にも降雪をもたらしたと仮定し、移動時間の推定を行った。ここでは、2023年12月23日の十日町0:00~1:00(JST)に対し14分ずらした塩沢0:14~1:14(JST)の降雪事例と、2024年12月23日の十日町11:49~13:19(JST)に対し11分ずらした塩沢12:00~13:30(JST)の降雪事例を解析対象とした。
地上の降雪は、十日町では霰状の粒子、塩沢では複雑な形の大きな雪片が観測された。十日町と比べ塩沢では、雪片の粒径が大きく、円形度が小さい傾向がみられた。また、観測地点直上の降水強度を観測するマイクロレインレーダーによると十日町は下層ほど、塩沢は上層ほど反射強度が強くなっていた。十日町と塩沢に設置された偏波レーダーで観測された雪雲の移動方向の鉛直断面構造によると、十日町でみられた強いレーダー反射強度が魚沼丘陵を越えて塩沢上空に伸びる様子がとらえられていた。また、2024年12月23日17:31(JST)に十日町市立十日町小学校と十日町市下水処理センターの2か所で実施した気球搭載型Rainscope放球による雪雲内の降水粒子直接観測によれば、十日町下層および魚沼丘陵を越えた上層で霰状の粒子がみられた。このことから、2地点では異なるタイプの降雪プロセスが存在しており、風上側は魚沼丘陵前面に生じる上昇流に伴い着氷した霰状の粒子形成が、風下側では上層に持ち上げられた過冷却雲粒による霰状の粒子形成、地上近くでは着氷を伴わない氷晶が下層で凝集した雪片形成が支配的であったと考えられ、魚沼丘陵のように内陸で標高が低くても雪質に影響を与えることが明らかになった。
本研究では、地形による雪質の違いとその成長プロセスに注目して、2023年と2024年の冬季に森林総合研究所十日町試験地(新潟県十日町市:緯度37.08度、経度138.46度、標高200m)と鉄道総合技術研究所塩沢雪害防止実験所(新潟県南魚沼市塩沢:緯度37.04度、経度138.85度、標高193m)の2地点に地上設置型降水粒子撮像ゾンデ(Rainscopeと呼ぶ)を設置して地上降雪観測を実施した。2つの地点は魚沼丘陵をはさんで約12km離れている。魚沼丘陵は、西に十日町盆地(信濃川)、東に六日町盆地(魚野川)が位置する、南北約30km、東西約12km、標高約750mの丘陵である。本研究では2023年12月23日と2024年12月23日の降雪事例について、魚沼丘陵の風上(十日町)と風下(塩沢)で降水粒子の特徴を比較し、雪質の違いをもたらす降雪プロセスを考察した。
本研究で用いた地上設置型Rainscopeは、もともと気球搭載型の特殊ゾンデとして開発されたRainscope(Suzuki et al. 2023)を地上観測用に改造したものである。Rainscopeは降水粒子が内蔵の赤外線センサーを通過することで、カメラの電子シャッターが反応し、降水粒子の静止画像を記録する。その上下のセンサーが降水粒子を感知した時間差とセンサー間の距離から落下速度が求められる。画像解析から粒子の大きさに関する情報として、長径、短径、周長、面積などのほか、形状に関する情報の円形度、縦横比が得られる。また本研究では、十日町で雪を降らせた雪雲が魚沼丘陵を越え、塩沢にも降雪をもたらしたと仮定し、移動時間の推定を行った。ここでは、2023年12月23日の十日町0:00~1:00(JST)に対し14分ずらした塩沢0:14~1:14(JST)の降雪事例と、2024年12月23日の十日町11:49~13:19(JST)に対し11分ずらした塩沢12:00~13:30(JST)の降雪事例を解析対象とした。
地上の降雪は、十日町では霰状の粒子、塩沢では複雑な形の大きな雪片が観測された。十日町と比べ塩沢では、雪片の粒径が大きく、円形度が小さい傾向がみられた。また、観測地点直上の降水強度を観測するマイクロレインレーダーによると十日町は下層ほど、塩沢は上層ほど反射強度が強くなっていた。十日町と塩沢に設置された偏波レーダーで観測された雪雲の移動方向の鉛直断面構造によると、十日町でみられた強いレーダー反射強度が魚沼丘陵を越えて塩沢上空に伸びる様子がとらえられていた。また、2024年12月23日17:31(JST)に十日町市立十日町小学校と十日町市下水処理センターの2か所で実施した気球搭載型Rainscope放球による雪雲内の降水粒子直接観測によれば、十日町下層および魚沼丘陵を越えた上層で霰状の粒子がみられた。このことから、2地点では異なるタイプの降雪プロセスが存在しており、風上側は魚沼丘陵前面に生じる上昇流に伴い着氷した霰状の粒子形成が、風下側では上層に持ち上げられた過冷却雲粒による霰状の粒子形成、地上近くでは着氷を伴わない氷晶が下層で凝集した雪片形成が支配的であったと考えられ、魚沼丘陵のように内陸で標高が低くても雪質に影響を与えることが明らかになった。