日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS11] 大気化学

2025年5月25日(日) 15:30 〜 17:00 展示場特設会場 (6) (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:江波 進一(国立大学法人筑波大学)、入江 仁士(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、石戸谷 重之(産業技術総合研究所)、中山 智喜(長崎大学 大学院水産・環境科学総合研究科)、座長:池田 恒平(国立環境研究所)

16:30 〜 16:45

[AAS11-05] 石油・ガス施設からのメタン漏出の減少:西シベリアにおける大気観測データの活用

*田口 琢斗1笹川 基樹1町田 敏暢1秦 倩凝1、Nogovitcyn Aleksandr1近藤 雅征2 (1.国立環境研究所、2.広島大学IDEC国際連携機構)

キーワード:メタン漏出、西シベリア、JR-STATION

石油およびガス(Oil &Gas: O&G)セクターからのメタン(CH4)排出は人為起源のCH4排出のおよそ25%を占める。ロシアは、アメリカ合衆国に次ぐ世界第2位のO&GセクターからのCH4排出国として重要な役割を担うものの、その推定においてはインベントリ(ボトムアップ・アプローチ)や大気逆解析モデル(トップダウン・アプローチ)間で大きな不確実性、および異なるトレンドを示す(ボトムアップでは減少、トップダウンでは増加)。国立環境研究所はJapan–Russia Siberian Tall Tower Inland Observation Network(JR-STATION)として知られるタワー観測ネットワークによってCH4およびCO2濃度の連続的な大気測定を行ってきた。本研究では、ロシアのO&G施設からのCH4排出の検出を目的に(1)観測機器がガスパイプライン沿いのタワーに設置されていること、(2)都市部から200キロメートル以上離れた場所に位置しており人間活動による影響が最小限に抑えられるという条件から、西シベリアに位置する3つの観測サイトを選定した。さらに、西シベリア湿地帯からのCH4排出および対流の影響を軽減するために冬季(1月、2月、11月、12月)の夜間(20:00~04:00)のデータを利用した。本研究の解析によって、大気条件(安定性)に影響を受けるCH4とCO2(ΔCH4およびΔCO2)の変動に正の線形相関を確認した。これは年々の生態系CO2フラックスに変動がないという仮定のもと、両者の高い比率(ΔCH4/ΔCO2)はCH4漏出として解釈できると考えた。2005年から2021年において、ΔCH4/ΔCO2比はそれぞれ数百キロメートル離れた3つの観測サイトで減少を示しており、西シベリアのO&G施設におけるCH4漏出の減少を示唆、さらにボトムアップ推定による減少トレンドを支持する結果となった。