日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS11] 大気化学

2025年5月26日(月) 10:45 〜 12:15 展示場特設会場 (5) (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:江波 進一(国立大学法人筑波大学)、入江 仁士(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、石戸谷 重之(産業技術総合研究所)、中山 智喜(長崎大学 大学院水産・環境科学総合研究科)、座長:入江 仁士(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)

11:15 〜 11:30

[AAS11-14] 2球クラスターを用いた偏光複素振幅エアロゾルセンサーの評価

*須田 翔太郎1茂木 信宏1 (1.東京都立大学大学院理学研究科)


1. 背景
近年、環境流体 (空気/水) に浮遊する単一粒子の詳細かつ高速なインライン分析のためにComplex Amplitude Sensing version2 (CAS-v2)1が開発された。CAS-v2 によって取得される4 次元の単一粒子データである偏光複素前方散乱振幅は、粒子の体積、形状、複素屈折率に関する情報を含んでいる。しかし、これらの特性が正確にわかっている非球形粒子の標準試料がないため、CAS-v2の測定性能は、非球形粒子についてはまだ検証されていない。本研究では、独自のエアロゾル生成法で発生させたポリスチレンの 2球クラスター粒子を使用して、非球形粒子について CAS-v2 の測定精度を評価した。

2. 方法
ポリスチレン(PS)標準粒子の懸濁水をネブライザーで噴霧することで液滴を生成し、加熱チャンバー内で水分を蒸発させることで液滴の残渣としてエアロゾル粒子を抽出した。ある液滴がPS粒子をn個含んでいるとき、それが乾燥する際にn個のPS粒子の凝集体からなるエアロゾル粒子が生成する(n=0, 1, 2, …)。このエアロゾル試料を241Am荷電中和器で帯電させ、そのうち所定の質量/電荷比を持つ粒子群のみをAerosol Particle Mass analyzer (APM) で抽出した。本実験では質量が既知の単球(電荷1)と2球クラスター(電荷2)が同時に透過するようにAPMの回転数と電圧を設定した。粒径303, 345, 401, 453 nmの各PS試料につき、数万個の単球と数百個の2球クラスターの単一粒子データをCAS-v2で取得した。前者はMie理論と、後者は空気中のランダム配向を仮定してMulti-Sphere T-matrix Method (MSTM) を用いて計算した理論分布と比較した。

3. 結果と議論
図1に、粒径401 nmのPS粒子の複素散乱振幅(2偏光の平均値)の測定値と理論値の比較を示した。単球だけでなく2球クラスターについても測定データの分布は理論分布とよく一致した。他の粒径に関しても同様の一致がみられた。これらの結果から、CAS-v2により非球形のエアロゾル粒子についても複素散乱振幅の測定を正確に実施できることが初めて確かめられた。

引用文献Moteki, N., & Adachi, K. (2024). Measuring the polarized complex forward-scattering amplitudes of single particles in unbounded fluid flow: CAS-v2 protocol. Optics Express, 32(21), 36500-36522.