17:15 〜 19:15
[AAS11-P18] つくばFTIRで観測されたメタンの水素同位体比の減少傾向
キーワード:フーリエ変換型分光計、メタン、同位体
東北大学と国立環境研究所では、つくばでの Network for the Detection of Atmospheric Composition Change (NDACC) 観測規約に基づくFTIR観測を1998年から行っている。この観測では広い波数領域のスペクトルを高波数分解能で取得できるため、様々な成分の解析が可能である。昨年メタンの同位体比の解析を始めたことを報告したが、水素同位体比の解析がある程度進んだので報告する。
同位体比は発生源や化学反応によって変化するため、大気中の同位体比を測定することでこれらの情報が得られる。ただし、一般的には同位体比を求めるには高精度な観測が必要である。赤外分光では絶対量の少ない同位体でも吸収強度の強い吸収線を用いれば解析は可能であるが、吸収線の強度などに数%程度の不確定性があることが多く、‰単位の微少な絶対値を精度よく求めることは難しい。しかし、現在解析しているメタンの水素同位体比などの場合は相対的な変動が%オーダーであり、吸収線強度の不確定性は相対変動には影響しないため、解析誤差を%程度に抑えられれば相対的な変動から発生源等に関する議論は可能ではないかと考え、解析を始めた。
赤外スペクトルの解析には、NDACC/InfraRed Working Group (IRWG) で共通して用いられている、ロジャーズ法を用いたスペクトルフィッティングプログラムSFIT4 (v1.0.21) を使用している。メタンは3µm帯および8µm帯に多くの吸収線を持つため、12CH3Dの解析では3µm帯、8µm帯それぞれで複数の吸収線を同時に解いている。当初は、過去の他の解析で用いられた波数領域などを参考にして解析を試行したが、いずれも吸収のピークが数%以下の吸収線しかなく、近くにある他の成分(干渉成分)の吸収線がうまくフィッティングできていないなどの影響もあって解析誤差が比較的大きく、3µm帯、8µm帯それぞれから導出したCH3Dを用いて別途解析している12CH4との比からδDを求めてみるとその経年変化の傾向が異なるといった問題があった。その後、HITRANデータベースから吸収線強度のなるべく大きな吸収線を選び出し、実際のつくばでの観測スペクトルで干渉成分の影響などをチェックしながら解析波数領域の変更やフィッティングパラメータの変更などを行い、3µm帯と8µm帯での経年変化の傾向はほぼ一致するようになった。ただし、結局のところ数%以上吸収のある吸収線で解析に使えるものはなく、個々のスペクトルからの12CH3Dの導出精度の向上はこれ以上は難しそうである。
導出した12CH3Dと12CH4それぞれの日平均値からδDを求めたものの時系列を見ると、近年の減少傾向が見えており、この傾向はサンプリングによる地上観測の結果と整合的である。ただし、個々のスペクトルからの12CH3Dの導出精度からはこの経年変化が有意といえるかどうかは難しく、今後統計処理等を行って信頼性を調べる予定である。
同位体比は発生源や化学反応によって変化するため、大気中の同位体比を測定することでこれらの情報が得られる。ただし、一般的には同位体比を求めるには高精度な観測が必要である。赤外分光では絶対量の少ない同位体でも吸収強度の強い吸収線を用いれば解析は可能であるが、吸収線の強度などに数%程度の不確定性があることが多く、‰単位の微少な絶対値を精度よく求めることは難しい。しかし、現在解析しているメタンの水素同位体比などの場合は相対的な変動が%オーダーであり、吸収線強度の不確定性は相対変動には影響しないため、解析誤差を%程度に抑えられれば相対的な変動から発生源等に関する議論は可能ではないかと考え、解析を始めた。
赤外スペクトルの解析には、NDACC/InfraRed Working Group (IRWG) で共通して用いられている、ロジャーズ法を用いたスペクトルフィッティングプログラムSFIT4 (v1.0.21) を使用している。メタンは3µm帯および8µm帯に多くの吸収線を持つため、12CH3Dの解析では3µm帯、8µm帯それぞれで複数の吸収線を同時に解いている。当初は、過去の他の解析で用いられた波数領域などを参考にして解析を試行したが、いずれも吸収のピークが数%以下の吸収線しかなく、近くにある他の成分(干渉成分)の吸収線がうまくフィッティングできていないなどの影響もあって解析誤差が比較的大きく、3µm帯、8µm帯それぞれから導出したCH3Dを用いて別途解析している12CH4との比からδDを求めてみるとその経年変化の傾向が異なるといった問題があった。その後、HITRANデータベースから吸収線強度のなるべく大きな吸収線を選び出し、実際のつくばでの観測スペクトルで干渉成分の影響などをチェックしながら解析波数領域の変更やフィッティングパラメータの変更などを行い、3µm帯と8µm帯での経年変化の傾向はほぼ一致するようになった。ただし、結局のところ数%以上吸収のある吸収線で解析に使えるものはなく、個々のスペクトルからの12CH3Dの導出精度の向上はこれ以上は難しそうである。
導出した12CH3Dと12CH4それぞれの日平均値からδDを求めたものの時系列を見ると、近年の減少傾向が見えており、この傾向はサンプリングによる地上観測の結果と整合的である。ただし、個々のスペクトルからの12CH3Dの導出精度からはこの経年変化が有意といえるかどうかは難しく、今後統計処理等を行って信頼性を調べる予定である。