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[AAS11-P19] 日本の地上メタン濃度変動の地域間差について

キーワード:メタン、地上観測、衛星観測、発生源、気象要素
短期寿命気候強制因子(SLCFs)の一種であるメタンは、二酸化炭素に比べて82.5倍の温暖化能力(GWP20 = 82.5)を有し、大気寿命が10年と比較的短い。そのため、メタン排出量の削減は、より短期間な地球温暖化の抑制に直結すると期待されている。本研究は、各地域のメタン濃度変動に影響を与える発生源や気象などの要因を明らかにするという目的で、日本の地表付近の大気中メタン濃度の地域間差を調査した。
解析には、2010~2019年に、全国17地点の大気汚染常時監視測定局(常監局)にて取得されたメタン濃度の1時間値を利用した(地上メタン)。また、地上メタン濃度変動は、GOSAT衛星観測(GOSAT Level 4B CH4 Data Product )(衛星メタン)や遠隔地測定局(綾里、南鳥島、与那国島)(遠隔地メタン)など広域的な地表メタン濃度と比較した。なお、衛星メタン濃度は、常監局が含まれるグリッドデータを利用した。
地上メタン濃度は、2010~2019年の間、いずれの常監局においても、上昇傾向(2.71〜12.3 ppb/yr)を示した。箟岳や大牟田など比較的人口の少ない地域は、同期間の衛星メタン濃度(8.19〜8.73ppb/yr)や遠隔地メタン濃度(7.92〜8.56ppb/yr)の上昇率と同程度であった。一方、新宿や大阪など都市域のメタン濃度の上昇率は、2.71〜12.3ppb/yrと、衛星メタン濃度や遠隔地メタン濃度との差異が大きくなった。
北半球中緯度の平均的なメタン濃度は、夏季に減少、冬季に増加しており[1]、衛星メタンと遠隔地メタンは、同じ変化傾向を示した。地上メタン濃度は、地域によって異なる季節変動を示し、箟岳や飛島などは、夏季に上昇、冬季に減少した。箟岳や飛島の周辺には農耕地が分布しており、水田からのメタン放出による影響が考えられた。また、松江は湖畔に位置しており、夏季のメタン発酵の活性化による影響が考えられた。夏季のメタン濃度上昇は、嫌気性環境下でのメタン生成との関連が示唆された。一方、東京や大阪などの地上メタン濃度は、広域的な季節変動(夏季に減少、冬季に増加)と同様の傾向を示したが、季節変動幅が、大きくなる地域があった。夏季の減少幅が大きな大阪や尼崎は、臨海部に位置し、海風の侵入と地上メタン濃度の減少の関係が確認された。人口の多い都市部に位置する東京や川崎は、他の地域と比較して、農業以外の人為的なメタン発生量が多い地域である。特に、冬季、これらの地域では放射性逆転層が発生しやすい環境が形成されていたため、近傍で排出されたメタンが滞留し、メタン濃度が上昇しやすい状況下にあったことが示唆された。
[1] 気象庁, ”大気中メタン濃度の経年変化,” 28 10 2024. https://ds.data.jma.go.jp/ghg/kanshi/ghgp/ch4_trend.html, (2024/12/13 参照)
解析には、2010~2019年に、全国17地点の大気汚染常時監視測定局(常監局)にて取得されたメタン濃度の1時間値を利用した(地上メタン)。また、地上メタン濃度変動は、GOSAT衛星観測(GOSAT Level 4B CH4 Data Product )(衛星メタン)や遠隔地測定局(綾里、南鳥島、与那国島)(遠隔地メタン)など広域的な地表メタン濃度と比較した。なお、衛星メタン濃度は、常監局が含まれるグリッドデータを利用した。
地上メタン濃度は、2010~2019年の間、いずれの常監局においても、上昇傾向(2.71〜12.3 ppb/yr)を示した。箟岳や大牟田など比較的人口の少ない地域は、同期間の衛星メタン濃度(8.19〜8.73ppb/yr)や遠隔地メタン濃度(7.92〜8.56ppb/yr)の上昇率と同程度であった。一方、新宿や大阪など都市域のメタン濃度の上昇率は、2.71〜12.3ppb/yrと、衛星メタン濃度や遠隔地メタン濃度との差異が大きくなった。
北半球中緯度の平均的なメタン濃度は、夏季に減少、冬季に増加しており[1]、衛星メタンと遠隔地メタンは、同じ変化傾向を示した。地上メタン濃度は、地域によって異なる季節変動を示し、箟岳や飛島などは、夏季に上昇、冬季に減少した。箟岳や飛島の周辺には農耕地が分布しており、水田からのメタン放出による影響が考えられた。また、松江は湖畔に位置しており、夏季のメタン発酵の活性化による影響が考えられた。夏季のメタン濃度上昇は、嫌気性環境下でのメタン生成との関連が示唆された。一方、東京や大阪などの地上メタン濃度は、広域的な季節変動(夏季に減少、冬季に増加)と同様の傾向を示したが、季節変動幅が、大きくなる地域があった。夏季の減少幅が大きな大阪や尼崎は、臨海部に位置し、海風の侵入と地上メタン濃度の減少の関係が確認された。人口の多い都市部に位置する東京や川崎は、他の地域と比較して、農業以外の人為的なメタン発生量が多い地域である。特に、冬季、これらの地域では放射性逆転層が発生しやすい環境が形成されていたため、近傍で排出されたメタンが滞留し、メタン濃度が上昇しやすい状況下にあったことが示唆された。
[1] 気象庁, ”大気中メタン濃度の経年変化,” 28 10 2024. https://ds.data.jma.go.jp/ghg/kanshi/ghgp/ch4_trend.html, (2024/12/13 参照)