日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CC 雪氷学・寒冷環境

[A-CC32] 雪氷学

2025年5月28日(水) 13:45 〜 15:15 展示場特設会場 (4) (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:大沼 友貴彦(宇宙航空研究開発機構)、谷川 朋範(気象庁気象研究所)、渡邊 達也(北見工業大学)、波多 俊太郎(国立極地研究所先端研究推進系地圏研究グループ)、座長:大沼 友貴彦(宇宙航空研究開発機構)

15:00 〜 15:15

[ACC32-06] 光学衛星画像を用いた小規模氷河の高度変化観測

*有江 賢志朗1、田殿 武雄1奈良間 千之2 (1.宇宙航空研究開発機構、2.新潟大学理学部)

キーワード:氷河、リモートセンシング、質量収支、SfM

1.はじめに
面積が0.5km²以下の氷河は小規模氷河と呼ばれ,地球上で確認されている約270000個の氷河のうち7割以上を占める(RGI 7. 0 Consortium, 2023).また,小規模氷河は気候変化に敏感であり,気候変化に対する応答時間が短い.このように,膨大な数と気候変化に対する短い応答時間の特徴を持つ小規模氷河のほとんどは,2100年までに消滅することが予想され,地域の水資源,海面上昇への大きな影響が危惧されている(Rounce et al., 2023).
衛星データの蓄積により全球氷河の質量収支が観測されたが可能になったが,データの地上分解能が低く,小規模氷河の質量収支の誤差が大きくなる課題が指摘されている(Hugonnet et al., 2021).衛星データを用いた全球の小規模氷河の質量収支(高度変化)観測は,地球温暖化による氷河縮小に伴う水資源および海面上昇の影響の将来予測において重要な課題である.
そこで本研究では,飛騨山脈・杓子沢氷河を対象に,地上分解能の高い光学画像(SkySat:地上分解能0.86m)と写真測量(SfM-MVS技術)によって二時期の地形表層モデル(DSM)を作成し,杓子沢氷河における年間の高度変化およびその誤差の算出を試みた.

2.手法
2023年10月17日と2024年10月21日に杓子沢氷河を対象に撮影されたSkySat画像とSfM-MVSソフト(Agisoft-Metashape)から二時期のDSMを作成した.作成した二時期のDSMを比較することで,杓子沢氷河の2023-2024年度での高度変化を算出した.また,氷河周囲の基盤地形における高度変化から(高度変化=誤差),二乗平均平方根誤差(RMSE)を算出し,杓子沢氷河の高度変化算出における誤差を求めた.

3.結果
SkySatステレオ画像を用いたSfM-MVS解析の結果,急崖では欠損が多いものの,氷河域では高密度点群データが作成できていることが確認された.また,2023-2024年度では,杓子沢氷河で平均-1.23mの高度変化が確認され,氷河広域で雪面高度が低下していた.基盤域で算出されたRMSEは0.99mであった.