日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CC 雪氷学・寒冷環境

[A-CC32] 雪氷学

2025年5月28日(水) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:大沼 友貴彦(宇宙航空研究開発機構)、谷川 朋範(気象庁気象研究所)、渡邊 達也(北見工業大学)、波多 俊太郎(国立極地研究所先端研究推進系地圏研究グループ)

17:15 〜 19:15

[ACC32-P02] 光学衛星画像によるAufeis自動抽出手法の検討

*岡 実代子1渡邊 達也1 (1.北見工業大学)


キーワード:アイシング、リモートセンシング、自動抽出、ウランバートル

1. 背景と目的
 Aufeis(アイシング)は,冬季に河川水や湧水,地表にしみ出した地下水が凍結して形成される層状の氷塊である.ウランバートル周辺では,河川沿いの低地にアイシングが発生することが報告されている.近年,この地域では人口の集中が進み,アイシング発生域に低所得者層の住宅地が形成され,冬季の結氷や春先の洪水被害,さらにはアイシングに混入した生活排水による衛生環境の悪化が問題となっている.アイシングの分布や規模は,気候変動や人間活動の影響を受けて変化する.その長期的かつ広域的な変化を把握するためには,リモートセンシングデータを用いた自動抽出が求められる.本研究では,リモートセンシングデータを用いたアイシングの自動抽出手法について検討した.
2. 解析方法
 ウランバートル市街地および郊外の山間部を対象に解析を行った.解析には,2023年3月に観測されたSentinel-2衛星データとALOS全球数値地表モデル(AW3D30)を使用した.まず,FalseColor画像を作成し,Pythonのscikit-learnを用いたk-means法でクラスタリングを実施し,氷の領域を抽出した.次に,ArcGIS Pro 3.4.0を用いて正規化積雪指数(NDSI)を算出し,NDSIが0.4以上の領域を抽出した.さらに,AW3D30データを用い,傾斜角5°未満かつ半径300 m圏内の最低標高値との比高差が10 m以下の領域を谷底部とする地形指標を定義し,谷底部を抽出した.これらの条件を満たす領域をアイシング発生域として判定した.
3. 結果と考察
 ウランバートル郊外の山間部では,NDSIのみでは積雪とアイシングの判別が困難だったが,FalseColor画像を用いることで積雪域の大部分を除外できた.さらに,地形指標で絞り込むことで,谷底部のアイシングを抽出することができた.一方,ウランバートル市街地では,K-meansクラスタリングが氷を適切に分類できず,FalseColor画像のみでは正確な抽出が困難であった.これは,市街地には氷と類似した反射特性を持つ建物や道路,舗装面が多く存在し,それらが氷と誤認される可能性があるためである.しかし,市街地では積雪がほぼない画像データを使用して解析したため,NDSIと地形指標のみで解析した結果,現地で確認されたアイシング分布と一致する結果が得られた.ただし,市街地に積雪が分布する場合,NDSIでは雪と氷が判別できないため,アイシングを過大に抽出してしまう可能性がある.今後,市街地におけるアイシング抽出を妨げる要因を特定し,それを考慮したアルゴリズムを開発することで,より精度の高い検出が期待される.