日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CC 雪氷学・寒冷環境

[A-CC32] 雪氷学

2025年5月28日(水) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:大沼 友貴彦(宇宙航空研究開発機構)、谷川 朋範(気象庁気象研究所)、渡邊 達也(北見工業大学)、波多 俊太郎(国立極地研究所先端研究推進系地圏研究グループ)

17:15 〜 19:15

[ACC32-P03] 知床連山サシルイ岳における永久凍土の電気探査および地中レーダー探査

*倉林 倫史1渡邊 達也1、大野 浩1 (1.北見工業大学)


キーワード:知床連山、永久凍土、電気探査、地中レーダー探査

1. はじめに
近年の調査により,知床連山サシルイ岳山頂(標高1564 m)付近の風衝地で永久凍土の存在が確認された。知床連山は,永久凍土の南限付近に位置しており,長期的な環境変化の指標となる。しかし,知床連山における永久凍土の厚さや分布範囲に関する詳細なデータは不足しており,さらなる調査が必要である。本研究では,永久凍土の厚さや分布範囲を明らかにすることを目的に,サシルイ岳山頂付近の風衝地において電気探査と地中レーダー探査を実施した。
2. 調査方法
電気探査は2021年10月8日に実施した。使用機器はIRIS社製のSyscal R1 プラスである。風衝地からハイマツ帯にかけて,全長48 mの測線を設定し,電極を1 mおよび2 m間隔で配置した二極法を適用した。最大探査深度は約10 mに設定した。
地中レーダー探査は2024年9月18日に実施した。使用機器はSensors & Software社製のpulseEKKOで,周波数225 MHzのアンテナを用いた。探査深度は約2–3 mであり,COS法を用いて計10区間のプロファイルを取得した。また,電磁波伝搬速度構造を算出するためCMP法も併用した。
3. 結果・考察
比抵抗断面図では,風衝地の深度1.5–5.0 mにかけて50 kΩm以上の高比抵抗域が認められた。地温観測では,この深度帯で永久凍土の存在が確認されている。また,ハイマツ帯に入ると高比抵抗域が消えることから,この高比抵抗域が永久凍土に相当すると考えられる。永久凍土の厚さは数m程度と推定される。
地中レーダー探査のCMP法による解析では,2層構造が認められた。深度約1.1 mを境に,上位が低速度層(0.70 m/ns),下位が高速度層(0.12 m/ns)となり,高速度層は永久凍土に相当する速度であった。また,レーダープロファイルでは深度1.1 m付近に凍結面を示す強い反射が確認された。しかし,この反射の発現は部分的であり,10区間のうち6区間で永久凍土と推定される強反射が確認された。一方,残りの4測線では明瞭な永久凍土の反射は認められなかった。
4. まとめ
本研究では,知床連山サシルイ岳山頂部の風衝地において電気探査と地中レーダー探査を実施し,永久凍土の厚さと分布範囲を調査した。その結果,永久凍土の厚さは数m程度であり,分布も限定的であることが示された。今後は,他の風衝地での探査や永久凍土の変動を把握するための継続的な調査を進める予定である。