日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CC 雪氷学・寒冷環境

[A-CC33] アイスコアと古環境モデリング

2025年5月28日(水) 09:00 〜 10:30 展示場特設会場 (4) (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:竹内 望(千葉大学)、植村 立(名古屋大学 環境学研究科)、川村 賢二(情報・システム研究機構 国立極地研究所)、齋藤 冬樹(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、座長:齋藤 冬樹(国立研究開発法人海洋研究開発機構)

10:00 〜 10:15

[ACC33-05] GIAによる最終間氷期の海水準に対するPGMの氷床分布と真の極移動の影響

★招待講演

*奥野 淳一1,2,3入江 芳矢4石輪 健樹1,3 (1.国立極地研究所、2.情報・システム研究機構、3.総合研究大学院大学、4.京都大学 地球熱学研究施設)

キーワード:氷河性地殻均衡調整、最終間氷期、海水準変動、真の極移動

過去の温暖期における極域氷床の挙動は,将来の温暖化に対する氷床の潜在的な応答を理解する上で重要な制約となる.最終間氷期(Last Interglacial: LIG,約12.5万年前)は,産業革命以前と比べて世界平均気温が1-2°C高く,現在より海面が6-9 m高かったと予測されていることから,特に重要な比較対象となりえる.本研究では,この重要な期間における氷床量変動を復元するため,相対的海水準(Relative Sea Level: RSL)の観測データと数値モデリングを統合した解析を行った.
LIGの氷床量をRSL記録から復元する際の基本的な課題として重要なポイントは,氷河性地殻均衡調整(Glacial Isostatic Adjustment: GIA)に関連する空間的に多様な固体地球変形シグナルをRSLの観測値から分離することである.この課題に取り組むため,LIG期間中のGIAの影響と真の極移動(True Polar Wander: TPW)の両方を明示的に考慮した高解像度数値モデルを開発し実装した.近年,LIGにおける年代決定の確かな広範なRSL指標データベースの整備が急速に進んでおり,これらデータとモデル計算結果と比較検証することで,極域氷床量変動に対して確実な制約となる.
本研究でのアプローチでは,TPWを考慮したGIAモデルを用いて,LIGの時空間的なRSL変動を評価した.感度実験を行うことで,最終氷期最盛期の一つ前の氷期(Penultimate Glacial Maximum)における氷床分布が,TPWを通して全球的なRSLのモデル結果に大きく影響することを示す.この研究成果は,氷床質量の再配分とそれに続くTPWが海水準変動に与える影響についての理解を深め,将来の海水準予測の向上に貢献すると考えられる.